FP1級過去問題 2023年1月学科試験 問11

問11

個人年金保険に係る税金に関する次の記述のうち、 最も適切なものはどれか。
  1. 契約者(=保険料負担者)と年金受取人が同一人である個人年金保険において、当該個人年金保険から受け取る年金に係る雑所得の金額が25万円以上である場合、その受取時に雑所得の金額の20.315%が源泉徴収される。
  2. 個人年金保険(保証期間付終身年金)において、年金支払開始時に保証期間分の年金額を一括で受け取った場合、雑所得として総合課税の対象となる。
  3. 個人年金保険料税制適格特約が付加された定額個人年金保険において、自動振替貸付により保険料の払込みに充当された金額は、個人年金保険料控除の対象とならない。
  4. 個人年金保険料税制適格特約が付加された定額個人年金保険において、年金年額の減額を行い返戻金が発生した場合、返戻金を払い戻すか、所定の利息をつけて積み立てて、年金支払開始日に増額年金の買い増しに充てるかを選択することができる。

正解 2

問題難易度
肢116.0%
肢250.0%
肢311.8%
肢422.2%

解説

  1. 不適切。契約者本人が個人年金保険から受け取る年金は、年金額からその年金額に対応する払込保険料を控除した雑所得の金額が25万円以上の場合、その金額の10.21%が所得税・復興特別所得税として源泉徴収されます。年金受取人が受け取る金額は、源泉徴収後のものです。
  2. [適切]。確定年金タイプの年金を一括で受け取る場合は一時所得になりますが、保証期間付終身年金の保証期間分を一時金として受け取る場合は雑所得となります。
    もう少し詳しく説明すると、個人年金保険では、年金支払開始日以後に保証期間分の年金額を一括して受け取る場合、それが「将来の年金給付の総額に代えて支払われるもの」であれば一時所得に、そうでなければ雑所得になります(所基通35-3)。保証期間付きの有期年金や終身年金では、保証期間終了後に被保険者が生存していれば再び年金を受け取ることができるので、年金給付の総額に代えて受け取ることにはなりません。よって、雑所得として課税されます。
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    定額個人年金保険(保証期間付終身年金)の年金受取人が、年金支払開始日後に保証期間分の年金額を一括して受け取った場合、その一時金は一時所得として所得税の課税対象となる。2019.5-12-3
    定額個人年金保険(保証期間付終身年金)の年金受取人が、年金支払開始日後に保証期間分の年金額を一括して受け取った場合、その一時金は雑所得として所得税の課税対象となる。2018.9-11-4
    定額個人年金保険(保証期間付終身年金)の契約者(=保険料負担者)かつ年金受取人が、年金支払開始日後に保証期間分の年金額を一括して受け取った場合、当該一時金は雑所得として所得税の課税対象となる。2017.1-12-3
    定額個人年金保険(保証期間付終身年金)において、年金受取人が年金支払開始日後に保証期間分の年金額を一括して受け取った場合、当該一時金は雑所得として所得税の課税対象となる。2016.1-11-3
    保証期間付終身年金の保証期間部分の年金額を一括して受け取った場合、その一時金は一時所得として課税対象となる。2014.9-11-3
  3. 不適切。未入金などの理由で保険料が未払いになると、保険の失効を防ぐために保険会社が解約返戻金の範囲で自動的に保険料を立て替えてくれます。これを「自動振替貸付制度」といいます。自動振替貸付による充当があった場合、お金を借りて保険料を支払ったとみなされるので、返済した年分ではなく、自動振替貸付があった年分の生命保険料控除の対象になります。
    一時払変額個人年金保険(10年確定年金)の保険料は、払い込んだ年の個人年金保険料控除の対象となる。2024.5-11-2
    一時払変額個人年金保険(10年確定年金)を契約から4年後に解約し、解約差益が生じた場合、その解約差益は源泉分離課税の対象となる。2022.1-11-3
    一時払変額個人年金保険(終身年金)を保険期間の初日から5年以内に解約し、解約差益が生じた場合、その解約差益は源泉分離課税の対象となる。2018.9-11-1
    一時払変額個人年金保険(終身年金)を保険期間の初日から5年以内に解約し、解約差益が生じた場合、いわゆる金融類似商品として、その解約差益は源泉分離課税の対象となる。2017.1-12-1
    一時払変額個人年金保険(終身年金)を保険期間の初日から5年以内に解約した場合、いわゆる金融類似商品として、その解約差益は源泉分離課税の対象となる。2016.1-11-1
    定額個人年金保険(10年確定年金)において、生命保険会社が支払う年金額からその年金額に対応する払込保険料を控除した金額が年間25万円以上になる場合、当該年金は源泉徴収の対象となる。2016.1-11-2
    保険料払込方法が一時払いの外貨建個人年金保険の場合、当該保険契約は個人年金保険料控除の適用対象とはならず、一般の生命保険料控除の対象となる。2014.9-10-1
    一時払変額個人年金保険(10年確定年金)を契約から4年後に解約した場合、当該解約返戻金の額と正味払込保険料との差額が源泉分離課税の対象となる。2014.1-12-2
  4. 不適切。通常、個人年金保険の基本年金額を減額すると、契約者はその部分に相当する解約返戻金を受け取ることができます。しかし、個人年金保険料税制適格特約が付加されている場合には、減額返戻金は自動的に配当金の積立てに充当され、増額年金の原資となります。個人年金保険料税制適格特約が付加されているときは、被保険者の死亡・高度障害状態となった場合を除いて年金以外の給付が禁止されるからです。
    個人年金保険料税制適格特約が付加されている個人年金保険の基本年金額を減額した場合、減額した基本年金額に相当する解約返戻金相当部分は、将来の増額年金として積み立てられる。2024.1-11-1
    個人年金保険料税制適格特約が付加されていない定額個人年金保険において、基本年金年額の減額を行い返戻金が発生した場合、返戻金は払い戻されず、所定の利息をつけて積み立てられ、年金開始日に増額年金の買い増しに充てられる。2023.9-11-3
    個人年金保険料税制適格特約が付加された個人年金保険において、年金年額の減額を行い返戻金が発生した場合、返戻金は所定の利息を付けて積み立てられ、年金支払開始日に増額年金の買増しに充てられる。2023.5-11-3
    個人年金保険料税制適格特約が付加されている個人年金保険の基本年金額を減額した場合、減額時に減額した基本年金額に相当する解約返戻金が支払われる。2022.1-10-2
    個人年金保険料税制適格特約が付加された個人年金保険は、契約日から10年以内に払済年金保険に変更することや、年金受取人を変更することはできない。2019.5-10-3
    個人年金保険料税制適格特約が付加された個人年金保険は、契約日から10年間は払済年金保険に変更することができない。2015.9-10-1
したがって適切な記述は[2]です。