FP1級過去問題 2023年1月学科試験 問12

問12

X株式会社(以下、「X社」という)の社長であるAさんは、2025年12月に65歳となることを機に長男Bさんに社長の座を譲り、勇退する予定である。その際、X社が加入している以下の定期保険を払済終身保険に変更し、退職金の一部として受け取りたいと考えている。以下の定期保険の払済終身保険への変更時の経理処理として、次のうち最も適切なものはどれか。
保険の種類
無配当定期保険(特約付加なし)
契約年月日
2009年5月1日
契約者(=保険料負担者)
X社
被保険者
Aさん(加入時における被保険者の年齢50歳)
死亡保険金受取人
X社
保険期間・保険料払込期間
95歳満了
死亡保険金額
1億円
最高解約返戻率
81.0%
年払保険料
300万円
2025年12月時点の解約返戻金
3,600万円
払込保険料累計額
4,500万円
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正解 2

問題難易度
肢112.3%
肢249.3%
肢329.2%
肢49.2%

解説

2019年7月8日以降に契約した法人生命保険の支払保険料は、最高解約返戻率に応じた経理処理をすることになっていますが、それより前に契約した保険については遡及適用がないため、従前の規定に従って経理処理を行うことになります。

本問の定期保険は、契約日が2019年7月7日以前であり、①満了時の年齢が70歳超、②加入時年齢+保険期間×2が105超という2つの条件を満たすので、長期平準定期保険という分類になります。長期平準定期保険の保険料は、保険期間全体の前半6割までの期間と後半4割の期間に分けて以下の経理処理を行います。
  • 前半6割の期間 … 2分の1を資産計上・2分の1を損金算入
  • 後半4割の期間 … 全額を損金算入
これまで支払った保険料はすべて前半6割期間のものであるので、払込保険料累計額4,500万円のうち半分の2,250万円が資産計上されていることになります。払済終身保険に変更する際は、その時点の解約返戻金相当額を保険料積立金として資産計上し、定期保険の前払保険料の全額を取り崩します。解約返戻金と前払保険料勘定との差額は雑収入または雑損失として計上します。

したがって、前払保険料として2,250万円を取り崩している[2]の経理処理が適切となります。