FP1級過去問題 2023年1月学科試験 問26

問26

居住者である個人事業主に係る所得税の収入金額と必要経費に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
  1. 業務用減価償却資産を譲渡したことによる所得は、原則として譲渡所得となるが、償却資産で一括償却資産の必要経費算入の規定の適用を受けたものを業務の用に供した年以後3年間のうちに譲渡したことによる所得は、原則として事業所得等となる。
  2. 個人事業主が、生計を一にする配偶者が所有する土地を賃借して事業の用に供している場合、その配偶者に支払う地代については、事業所得の金額の計算上、必要経費に算入することはできないが、配偶者が支払った当該土地にかかる固定資産税は必要経費になる。
  3. 支出した交際費のうち、飲食のために支出した費用で、かつ、業務の遂行上直接必要と認められるものについては、事業所得の金額の計算上、その支出額の50%相当額を上限として必要経費に算入することができる。
  4. 青色事業専従者に対する給与は、青色事業専従者給与に関する届出書に記載された金額の範囲内で必要経費に算入することができるが、青色事業専従者に対する退職金は、一般従業員に対する退職給与規程に従って算定されたものであっても、必要経費に算入することはできない。

正解 3

問題難易度
肢18.2%
肢217.2%
肢361.9%
肢412.7%

解説

  1. 適切。個人事業主が業務用の減価償却資産を譲渡したとき、その所得は原則として譲渡所得となります。しかし、①少額減価償却資産(10万円未満または使用可能期間1年未満)や②一括償却資産(20万円未満の資産を3年で均等償却)の必要経費算入の適用を受けた資産を譲渡したことによる所得は、事業所得(事業でなければ雑所得)として計上することになっています。①や②を選択した場合、帳簿上、固定資産ではなく棚卸資産に準ずる資産として取り扱われるためです。
  2. 適切。個人事業主が、生計を一にする配偶者その他の親族に支払う借賃は必要経費になりません。逆に、受け取った人も所得としては考えません。ただし、配偶者等が負担した賃借物に係る固定資産税などの租税公課は、業務用の部分に限って必要経費になります。
  3. [不適切]。個人事業主の場合、支出した交際費のうち業務の遂行上直接必要と認められるものについては、上限なく必要経費に算入することができます。損金算入限度額があるのは法人だけです。
    Aさんが支出した交際費のうち、飲食のために支出した費用で、かつ、業務の遂行上直接必要と認められるものについては、事業所得の金額の計算上、その支出額の50%相当額を上限として必要経費に算入することができる。2015.9-25-2
  4. 適切。青色事業専従者給与は、税務署長に届け出た方法に従いその金額の範囲内で支払われたときに必要経費に算入することができます。個人事業の場合、事業主自身や青色事業専従者に対して支払われる退職金を必要経費に算入することはできません。
したがって不適切な記述は[3]です。