FP1級過去問題 2023年1月学科試験 問28

問28

所得税の雑損控除および災害被害者に対する租税の減免、徴収猶予等に関する法律(以下、「災害減免法」という)に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。なお、記載のない事項については考慮しないものとする。
  1. 災害のうち、火災、風水害、雪害、干害などの異常気象による災害や、害虫、害獣などの生物による異常な災害によって被った損失は雑損控除の対象となるが、地震および噴火によって被った損失は雑損控除の対象とならない。
  2. 災害によって自己の所有する住宅について生じた損失の金額が400万円(うち災害関連支出の金額が100万円)である場合、被害を受けた年分の総所得金額等が700万円である居住者が雑損控除の適用を受けるときは、雑損控除の控除額は330万円である。
  3. 災害によって自己の所有する住宅(時価1,500万円)について生じた損害金額が1,000万円である場合、被害を受けた年分の合計所得金額が700万円である居住者が災害減免法の適用を受けるときは、当該年分の所得税額の全額が免除される。
  4. 雑損控除の控除額がその年分の所得金額から控除しきれない場合、所定の要件を満たす青色申告者については、控除しきれない額を前年分の所得に繰り戻して控除し、前年分の所得税額の還付を請求することができる。

正解 2

問題難易度
肢111.3%
肢227.0%
肢324.3%
肢437.4%

解説

雑損控除に関する出題ポイントは以下の通りです。
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  1. 不適切。雑損控除の適用対象となる自然災害には地震や噴火も含みます。
  2. [適切]。雑損控除の控除額は、以下の2つのうち多い金額となります。
    (損害額+災害関連支出額-保険金等の額)-総所得金額×10%
    損害額は災害関連支出額を含んで400万円なので、控除額は「400万円-700万円×10%=330万円」です。
    (災害関連支出額-保険金等の額)-5万円
    100万円-5万円=95万円
    したがって多いほうの330万円が控除額となります。
  3. 不適切。合計所得金額500万円超750万円以下の人が災害減免法の適用を受けた場合、免除額は所得税額の2分の1なので誤りです。
    災害によって住宅や家財に損害を受けた場合、その損害金額(保険金などにより補てんされる金額を除く)が時価の2分の1以上で、かつ、その損失額について雑損控除の適用を受けない場合は、災害減免法の適用を受けることにより、下表のとおり災害にあった年の所得金額に応じてその年の所得税額の額の全部または一部が免除されます。
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  4. 不適切。雑損控除の控除額をその年の所得金額から引ききれない場合には、誰でも翌年以後3年にわたり繰越控除することができます。しかし、繰戻し還付の制度はありません。
したがって適切な記述は[2]です。