FP1級過去問題 2023年1月学科試験 問50
問50
譲渡制限株式を発行している会社が、相続等により当該会社の譲渡制限株式を承継した者に対して、その株式を会社に売り渡すことを請求することができる旨を定款に定めている場合の会社法上の取扱いに関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。- 相続人が相続により承継した株式を会社が買い取るためには、当該会社は相続があったことを知った日から1年以内に相続人に対して売渡しを請求しなければならない。
- 相続人が相続により承継した株式を会社が買い取るためには、定時株主総会の普通決議が必要となるが、この決議において売主である相続人は、原則として議決権を行使できない。
- 相続人が相続により承継した株式を会社が買い取る価格について、会社または相続人は、売渡しの請求があった日から20日以内に、裁判所に対し、売買価格の決定の申立てをすることができる。
- 相続人が相続により承継した株式を会社が買い取る場合、相続人に交付する金銭等の帳簿価額の総額は、株式の買取日における分配可能額を超えてはならない。
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正解 2
問題難易度
肢111.1%
肢249.5%
肢325.3%
肢414.1%
肢249.5%
肢325.3%
肢414.1%
分野
科目:F.相続・事業承継細目:10.事業と経営
解説
譲渡制限株式とは、株式の譲渡による取得について会社の承認を要することを定款で定めている株式です。株式は自由に譲渡できるのが原則ですが、好ましくない者が株主となることを避けたい場合もあるので、このような制限をすることも認められています(会社法107条1項1号)。
しかし、相続や合併等の一般承継による株式の取得には譲渡制限の効果は及ばないため、好ましくない者に株式が取得される可能性があります。そこで、会社は定款で定めておくことにより、相続その他の一般承継により譲渡制限株式を取得した者に対し、その株式を会社に売り渡すよう請求できることになっています(会社法174条)。これが本問の題材となっている「一般承継人に対する受渡し請求」です。
しかし、相続や合併等の一般承継による株式の取得には譲渡制限の効果は及ばないため、好ましくない者に株式が取得される可能性があります。そこで、会社は定款で定めておくことにより、相続その他の一般承継により譲渡制限株式を取得した者に対し、その株式を会社に売り渡すよう請求できることになっています(会社法174条)。これが本問の題材となっている「一般承継人に対する受渡し請求」です。
- 適切。譲渡制限株式を取得した相続人等に対する売渡し請求は、相続その他一般承継があったことを知った日から1年以内にしなければなりません(会社法176条1項)。相続人が相続により承継した株式を会社が買い取るためには、相続があったことを知った日から1年以内に相続人に対して売渡しを請求しなければならない。(2014.9-50-1)相続人が相続により承継した株式を会社が買い取るためには、定時株主総会の普通決議が必要となるが、この決議において売主である相続人は、原則として議決権を行使できない。(2014.9-50-2)相続人が相続により承継した株式を会社が買い取る価格について、会社または相続人は売渡し請求日から20日以内に、裁判所に対し、売買価格の決定の申立をすることができる。(2014.9-50-3)
- [不適切]。売渡し請求に限らず、会社が特定の者から株式を買い取る場合には、株主総会の特別決議による必要があります(会社法309条2項)。本肢は「普通決議」としているので誤りです。なお、後半の"譲渡制限株式を取得した者は原則として当該株主総会で議決権を行使できない"という記述は適切です(会社法175条2項)。
- 適切。売渡し請求があったときの売買価格は、会社と請求を受けた者の協議によって定めるのが原則ですが、請求があった日から20日以内であれば、両者のいずれも裁判所に対して売買価格の決定の申立てをすることができます(会社法177条2項)。裁判所に申し立てた場合は、協議の結果によらず裁判所が決めた価格が売買価格となります。
- 適切。会社が株主等に対して行う分配(剰余金の配当、株式の取得、株式の買取り等)において、株主に対して交付する金銭等の総額は、その効力発生日における分配可能額を超えてはなりません(会社法461条)。会社が特定の株主から自己株式を有償で取得する場合、取得の対価として交付する金銭等の帳簿価額の総額は、取得の効力発生日における分配可能額の範囲内でなければならない。(2019.1-50-2)相続人が相続により承継した株式を会社が買い取るにあたっては、相続人に交付する金銭等の帳簿価額の総額が分配可能額を超えてはならないとする財源規制がある。(2014.9-50-4)
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