FP1級 2023年1月 応用編 問60

【この問題にはが用意されています。読んでから回答してください。】
 Aさん(57歳)は、5年前に父親から相続により取得した賃貸アパートを2024年1月に取り壊して、その敷地(500㎡)を売却した。その売却資金と銀行借入金によって、最寄り駅から徒歩5分にある甲土地を取得し、2024年中に甲土地の上に賃貸マンションを建築して、賃貸事業を開始する予定である。
 なお、Aさんは、「特定の事業用資産の買換えの場合の譲渡所得の課税の特例」の適用を受ける予定である。
 Aさんが購入する予定の甲土地の概要は、以下のとおりである。

〈甲土地の概要〉
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  • 甲土地は350㎡の長方形の土地である。
  • 幅員18mの県道は建築基準法第52条第9項の特定道路であり、特定道路から甲土地までの延長距離は49mである。
  • 指定建蔽率および指定容積率とは、それぞれ都市計画において定められた数値である。
  • 特定行政庁が都道府県都市計画審議会の議を経て指定する区域ではない。
  • 上記以外の条件は考慮せず、各問に従うこと。

問60

建築基準法の規定に関する以下の文章の空欄①~⑥に入る最も適切な語句または数値を、解答用紙に記入しなさい。

  1. 「建築基準法では、都市計画区域内と準都市計画区域内において、用途地域等に応じて、建築物の高さの制限を定めています。建築物の各部分の高さの制限については、3種類の斜線制限がありますが、甲土地の用途地域は近隣商業地域に該当するため、()斜線制限は適用されません。なお、建築基準法では、これらのほかに日影による中高層の建築物の高さの制限等が定められています」
  2. 「一定規模以上の建築物を建築しようとする場合には、建築主は工事に着手する前に、()または指定確認検査機関に確認申請書を提出し、その計画が建築基準関係規定に適合していることの確認を受けなければなりません。()は、政令で指定する人口25万以上の市や都道府県等に置かれています。建築基準関係規定に適合していることが確認されれば、()が交付されます。
     中間検査とは、建築工事に階数が()以上である共同住宅の床および梁に鉄筋を配置する工事の工程のうち一定の工程を含む場合などに、その工程に係る工事が終わった段階で、その建築物が建築基準関係規定に適合しているかを検査することをいい、建築主は中間検査対象建築物において、やむを得ない理由がない限り、一定の工程に係る工事終了日から()日以内に検査の申請をしなければならず、検査に合格しなければ次の工程に進むことはできません。
     完了検査とは、工事が完了した段階で、その建築物が建築基準関係規定に適合しているかを検査することをいい、建築主は、やむを得ない理由がない限り、建築工事が完了した日から()日以内に検査の申請をしなければなりません。
     この申請に基づき完了検査が行われ、建築基準関係規定に適合していると認められると、建築主に対して()が交付されます」
斜線制限
 
 
 
 

正解 

① 北側(斜線制限)
② 建築主事
③ 確認済証
④ 3
⑤ 4(日)
⑥ 検査済証

分野

科目:E.不動産
細目:3.不動産に関する法令上の規制

解説

〔①について〕
都市計画区域および準都市計画区域内の建築物に適用される斜線制限には次の3つがあります。建築物の敷地が2以上の用途地域にわたっている場合には、用途地域ごとに斜線制限が適用されます。
道路斜線制限
道路の日照や通風に支障を来さないように、道路の反対側の境界線からの斜線で高さを制限する。すべての用途地域に適用される
隣地斜線制限
高さ20mまたは31mの位置からの斜線で高さを制限する。より厳しい絶対高さ制限がある第一種・第二種低層、田園住居以外の地域に適用される
北側斜線制限
住居専用地域において、敷地北側境界線上の5mまたは10mの位置からの斜線で高さを制限する。第一種・第二種低層、田園住居、第一種・第二種中高層の5つの地域に適用される
※中高層住居地域では日影規制の対象区域を除く
3つの斜線制限のうち近隣両商業地域の適用されないのは「北側斜線制限」です。
よって、正解は北側(斜線制限)となります。
〔②について〕
都市計画区域および準都市計画区域内の建築物や、一定規模以上の建築物を建築しようとする者は、建築に着手する前に建築主事または確認検査機関に建築確認を申請しなければなりません。建築確認とは、建築計画が建築基準関係規定(建築基準法令の規定、敷地、構造、設備に関する法令等)に適合していることを確認する手続きです。
建築主事は、建築確認に関する事務をつかさどるために地方公共団体に置かれる職員で、都道府県と建築基準法の政令で指定された人口25万人以上の市には、建築主事を設置することが義務付けられています。それ以外の市町村は任意で設置することができます。
よって、正解は建築主事となります。

〔③について〕
建築主事または指定確認検査機関により建築基準関係規定に適合することが確認されると、申請者に確認済証が交付されます。確認済証の交付後でなければ、建築物の建築等の工事を開始することができません。
よって、正解は確認済証となります。

〔④、⑤について〕
3階以上の共同住宅等の建築工事では、2階の床・はりに鉄筋を配置する工事が終了したとき、その工事の終了日から4日以内に建築主事または指定確認検査機関に届くように中間検査を申請しなければなりません。中間検査合格証の交付を受けなければ、後続の工事を行うことができないことになっています。
よって、④は3、⑤は4(日)が正解となります。

〔⑥について〕
建築確認が必要な工事を終了した者は、工事の完了日から4日以内に建築主事または指定確認検査機関に届くように完了検査を申請しなければなりません。完了検査をパスすれば検査済証が交付され、一定規模以上の建築物が使用できるようになります。
よって、正解は検査済証となります。