FP1級過去問題 2024年1月学科試験 問30

問30

個人住民税に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
  1. 給与所得に係る住民税は、給与を支払った事業者が市区町村に提出する給与支払報告書に基づき計算され、原則として、翌年の4月から翌々年の3月までの12回に分割して、毎月の給与から徴収される。
  2. 不動産所得を有する給与所得者が所得税の確定申告を行う場合、不動産所得に係る住民税の徴収方法について、特別徴収または普通徴収を選択することができる。
  3. 普通徴収によって住民税を納付している者が2023年中に他の市区町村に転居した場合、その転居した後に納期限が到来する2023年度に納付すべき住民税は、転居先の市区町村に納付することになる。
  4. 納税者の合計所得金額が2,400万円以下である場合、住民税の基礎控除の控除額は48万円である。

正解 2

問題難易度
肢117.2%
肢246.3%
肢39.5%
肢427.0%

解説

  1. 不適切。4月から3月ではありません。給与所得に係る住民税は、給与支払者が各年に市区町村に提出する給与支払報告書および所得税の確定申告に基づいて計算されます。住民税額は事業者に通知され、原則として、給与所得のあった翌年の6月から翌々年の5月までの12回に分割して毎月の給与から特別徴収されます。確定申告によって所得が確定するため、事務処理の関係で年度初めの4月からというわけにはいきません(地方税法321条の5)。
  2. [適切]。給与所得と公的年金に係る住民税は必ず特別徴収(天引き)によります。しかし、それ以外の所得については、確定申告する際に確定申告書第二表の「給与、公的年金等以外の所得に係る住民税の徴収方法」欄で"特別徴収"または"自分で納付"を選択することができます。"自分で納付"を選択すれば、それ以外の所得について普通徴収を選択することができます(地方税法規則2条の3)。副業収入を会社に知られたくない人にとっては必須のチェック項目です。
  3. 不適切。転居先の市区町村ではありません。個人住民税は、その年の1月1日現在の住所地で課税されます。年税なのでその年の途中で他の市区町村に転居した場合でも、その年度分の住民税は転居前の市区町村に納付しなければなりません(地方税法318条)。
  4. 不適切。48万円ではありません。住民税額も所得税と同じく、総所得金額等を基準に計算します。所得税と同じく所得控除がありますが、基礎控除は43万円、配偶者控除は33万円、生命保険料控除は7万円(いずれも最高額)というように、所得税とは控除額が異なっています(方税法344条の2)。
したがって適切な記述は[2]です。