FP1級 2024年1月 応用編 問62

【この問題にはが用意されています。読んでから回答してください。】
 自営業を営むAさん(45歳)は、都心にある分譲マンションに妻と子と4人で暮らしている。子が成長し、マンションが手狭になってきたことから、戸建て住宅に住み替えたいと考えていたところ、郊外に立地する甲土地が売りに出されていることを知り、購入を検討している。なお、新築する住宅は、住宅の一部に車庫を組み込んだビルトインガレージを設けて、Aさんが趣味で購入した自動車を保管したいと考えている。
 現在居住しているマンションは、12年前に新築で購入したものであり、昨今のマンション価格の高騰を受け譲渡益が発生する見込みである。
 甲土地の概要は、以下のとおりである。

〈甲土地の概要〉
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  • 甲土地は180㎡の長方形の土地であり、第一種住居地域に属する部分は75㎡、第一種低層住居専用地域に属する部分は105㎡である。
  • 指定建蔽率および指定容積率とは、それぞれ都市計画において定められた数値である。
  • 甲土地は、建蔽率の緩和について特定行政庁が指定する角地である。
  • 幅員15mの公道は、建築基準法第52条第9項の特定道路であり、特定道路から甲土地までの延長距離は56mである。
  • 特定行政庁が都道府県都市計画審議会の議を経て指定する区域ではない。
  • 上記以外の条件は考慮せず、各問に従うこと。

問62

住宅の新築工事に係る請負人の瑕疵担保責任および容積率算定上の延べ面積への不算入に関する以下の文章の空欄①~⑥に入る最も適切な語句または数値を、解答用紙に記入しなさい。

  1. 〈住宅の新築工事に係る請負人の瑕疵担保責任〉
     「住宅の新築工事の請負契約を建設業者と締結する場合、建設業者は、発注者に引き渡した時から()年間、住宅の構造耐力上主要な部分等の瑕疵について、構造耐力または雨水の浸入に影響のないものを除き、民法に規定する請負人の担保の責任(以下、「瑕疵担保責任」という)を負います。なお、建設業者が瑕疵担保責任を負うべき期間を、発注者に引き渡した時から最長()年とすることができます。
     建設業者は、瑕疵担保責任を履行するために、修理費用等の資力確保として住宅建設瑕疵担保責任保険契約(以下、「保険契約」という)の締結または住宅建設瑕疵担保保証金(以下、「保証金」という)の供託の措置をとらなければなりません。
     保険契約が締結されると、住宅に瑕疵担保責任を負うべき瑕疵があった場合、補修を行った建設業者に保険金が支払われます。また、建設業者が倒産するなどにより、相当の期間を経過してもなお瑕疵担保責任が履行されない場合は、発注者の請求に基づき瑕疵によって生じた損害について保険金が支払われます。なお、瑕疵による損害を填補するための保険金額は()万円以上でなければなりません。
     保証金が供託されると、建設業者が倒産するなどにより、瑕疵担保責任を負う期間内にその履行ができなくなった場合、発注者は請求に基づき瑕疵によって生じた損害について保証金の還付を受けることができます。なお、建設業者は、毎年3月31日から()週間を経過する日までの間において、3月31日前()年間に住宅を新築する建設工事の請負契約に基づき発注者に引き渡した新築住宅について瑕疵担保責任の履行を確保するため、保証金の供託をしていなければなりません」
  2. 〈容積率算定上の延べ面積への不算入〉
     「容積率の算定の基礎となる延べ面積の計算にあたって、ビルトインガレージなどの自動車車庫等部分の床面積は、その敷地内の建築物の各階の床面積の合計の()を限度として、延べ面積に算入しません。例えば、敷地面積が180㎡で、容積率の上限が100%の土地にビルトインガレージ部分を除いた延べ面積が180㎡の住宅を建てる場合、ビルトインガレージ部分の床面積は最大で()㎡とすることができます」
年間
万円
週間
 

正解 

① 10(年間)
② 20(年)
③ 2,000(万円)
④ 3(週間)
⑤ 5分の1
⑥ 45(㎡)

分野

科目:E.不動産
細目:3.不動産に関する法令上の規制

解説

〔①、②について〕
新築住宅の建築を請け負う建設業者、新築住宅を販売する宅地建物取引業者は、住宅品質確保法に基づき、注文主や買主に対して、住宅のうち構造耐力上主要な部分または雨水の浸入を防止する部分について、引き渡した時から10年間瑕疵担保責任を負います。この瑕疵担保責任を負う期間は、引き渡した時から20年以内で延長することができます。
よって、①は10(年間)、②は20(年)が正解となります。

〔③について〕
10年間の瑕疵担保責任を負うと法で定めても、いざその時に業者に資力がなければ責任の履行ができません。そこで、瑕疵担保責任が確実に履行されるよう、新築住宅の請負人や販売者には、履行確保法に基づき❶保険の契約または❷保証金の供託による資力確保措置が義務付けられています。
保険契約による場合は、保険金額が2,000万円以上、保険期間は10年以上、保険料は業者が負担する、一定の場合を除き変更や解除ができないなどの要件を満たすものでなければなりません。
よって、正解は2,000(万円)となります。

〔④について〕
新築住宅の建築を請け負う建設業者、新築住宅を販売する宅地建物取引業者が、保証金の供託のよって資力確保措置を講ずる場合には、基準日である毎年3月31日から3週間以内に、基準日以前10年間に引き渡した新築住宅の戸数に応じた保証金を供託していなければなりません。10年以内となっているのは、法定の瑕疵担保責任期間が10年だからです。なお、保証金の額は、戸数に応じて2,000万円~となっています。
また、同じく基準日から3週間以内に、資力確保措置について免許を受けた国土交通大臣または都道府県知事に届け出る義務もあります。
よって、正解は3(週間)となります。

〔⑤、⑥について〕
容積率を算定する上で、次の部分の床面積は延べ面積に算入されません。
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自動車車庫等部分は、延べ面積の5分の1を限度として不算入となります。敷地面積が180㎡、容積率が100%ですから、容積率算定上の延べ面積の限度は180㎡です。延べ面積は"各階の床面積の合計180㎡にガレージ部分を加えた面積"で、この5分の1が不算入となるということは、裏を返せば残り5分の4(=0.8)が延べ面積として扱われるということです。この関係を方程式にして解くと、ガレージの床面積Sを求めることができます。

 180㎡≧(180㎡+S㎡)×0.8
 225≧180+S
 45≧S

よって、⑤は5分の1、⑥は45(㎡)が正解となります。