FP1級過去問題 2024年9月学科試験 問4

問4

厚生年金保険の標準報酬月額および標準賞与額に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
  1. 厚生年金保険では、原則として、被保険者が4月、5月、6月に受けた報酬の総額をその報酬を受けた月数で除して得た額を報酬月額として標準報酬月額が決定され、当該標準報酬月額が、その年の10月から翌年の9月までの各月の標準報酬月額となる。
  2. 標準報酬月額は、被保険者の報酬月額に基づき、1等級から32等級までの等級区分から決定され、報酬月額が100万円である被保険者の標準報酬月額は65万円となる。
  3. 標準賞与額は、原則として、被保険者が賞与を受けた月において、その賞与額に基づき、これに1,000円未満の端数を生じたときはこれを切り捨てて決定されるが、当該標準賞与額が150万円を超えるときは、その月の標準賞与額は150万円となる。
  4. 厚生年金保険の保険料は、標準報酬月額および標準賞与額にそれぞれ保険料率18.3%を乗じて算出され、被保険者と事業主が折半して負担する。

正解 1

問題難易度
肢155.2%
肢217.5%
肢316.7%
肢410.6%

解説

  1. [不適切]。10月からではありません。事業主は、7月1日現在で使用している被保険者の3か月間(4~6月)の報酬総額を算定基礎届により届出し、厚生労働大臣はこの届出内容に基づき毎年1回、標準報酬月額を決定します(定時決定)。決定された標準報酬月額は、その年の9月から翌年8月までの各月に適用されます(厚年法21条)。
  2. 適切。厚生年金の保険料は、被保険者の報酬月額に基づき1~32等級に区分されています。下限の1等級(標準報酬月額88,000円)は報酬月額93,000円未満の人、上限の32等級(標準報酬月額650,000円)は報酬月額635,000円以上の人が区分されます。報酬月額100万円の人は32等級に区分され、標準報酬月額は650,000円となります(厚年法20条)。
  3. 適切。標準賞与額は、実際の賞与額の1,000円未満を切り捨てた額です。この標準賞与額に保険料率を乗じることで、賞与額に係る厚生年金保険料が算出されます。標準賞与額の上限は150万円とされているので、賞与額が150万円を超えるときの標準賞与額は150万円となります(厚年法24条の4)。
  4. 適切。厚生年金保険料は、標準報酬月額・標準賞与額に18.3%の保険料率を乗じて算出され、被保険者と事業主が折半して負担します。例えば、報酬月額が230,000円以上250,000円未満の場合、標準報酬月額は240,000円に区分されます。1カ月の厚生年金保険料は「240,000円×18.3%=43,920円」となり、その半分である「43,920円÷2=21,960円」を被保険者と事業主がそれぞれ負担します(厚年法82条)。
したがって不適切な記述は[1]です。