FP1級過去問題 2024年9月学科試験 問10

問10

生命保険会社の健全性・収益性に関する指標等に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
  1. 基礎利益は、保険会社の基礎的な期間損益の状況を表す指標であり、経常利益に危険準備金繰入額等の「臨時損益」を加え、有価証券売却益等の「キャピタル損益」を除くことで算出される。
  2. 保有契約高は、保険会社が事業年度末において保障する金額の合計額であり、個人年金保険については、年金支払開始前契約の年金支払開始時における年金原資の額と年金支払開始後契約の責任準備金の額の合計額となる。
  3. ソルベンシー・マージン比率は、保険会社が有する保険金等の支払余力を表す指標であり、この値が200%を下回った場合には、業務改善命令等の早期是正措置の対象となる。
  4. 実質純資産額は、有価証券や有形固定資産の含み損益等を反映した時価ベースの資産の合計から、価格変動準備金や危険準備金等の資本性の高い負債を除いた負債の合計を差し引いて算出される。

正解 1

解説

  1. [不適切]。臨時損益は加えません。基礎利益とは、経常利益から本業以外での利益である有価証券の売却損益等の「キャピタル損益」と「臨時損益」を除いて算出したものです。一般企業の営業利益に相当するもので、生命保険本業の1年間の期間収益の状況を示す指標です。
    基礎利益は、保険会社の基礎的な期間損益の状況を表す指標であり、経常利益から「キャピタル損益」と「臨時損益」を除いて算出される。2022.1-9-c
  2. 適切。保有契約高は、契約者に対して保険会社が保障する金額の合計額です。保有契約高は、死亡保険については死亡保険金額、個人年金保険については年金支払開始前契約の「年金支払開始時における年金原資」の額と年金支払開始後契約の「責任準備金」の額を合計して算定されます。
  3. 適切。ソルベンシー・マージン比率は、保険会社が責任準備金以外にどれだけの余裕資金を保有しているかを算定したもので、予見できないリスクに対する保険会社の耐性を示します。保険会社の健全性を測る指標として取り扱われており、200%以上であればリスクに対する支払余力が十分にあるとされますが、200%を下回った場合には金融庁による早期是正措置の対象となります。
    ソルベンシー・マージン比率は、保険会社が有する保険金等の支払余力を表す指標であり、この値が200%を下回った場合には、金融庁による業務改善命令等の早期是正措置の対象となる。2022.1-9-b
  4. 適切。実質純資産額とは、時価ベースの資産の合計から、負債(価格変動準備金や危険準備金などの資本性の高いものを除く)を差し引いて算出するもので、時価ベースの純資産額に相当するものです。保険会社の健全性の状況を示す行政監督上の指標であり、マイナスになると実質的な債務超過と判断され、業務停止命令等の対象となることがあります。
    実質純資産額は、有価証券や有形固定資産の含み損益などを反映した時価ベースの資産の合計から、価格変動準備金や危険準備金などの資本性の高い負債を除いた負債の合計を差し引いて算出され、保険会社の健全性の状況を示す行政監督上の指標の1つである。2022.1-9-a
したがって不適切な記述は[1]です。