FP1級過去問題 2024年9月学科試験 問20

問20

下記の〈X社の資料〉に基づく損益分岐点分析に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、記載のない事項については考慮しないものとする。

〈X社の資料〉
売上高:2億円
変動費:8,000万円
固定費:3,000万円
  1. 経営安全率は75%である。
  2. 固定費を1,200万円削減すれば、損益分岐点売上高が2,000万円低下する。
  3. 1億5,000万円の利益をあげるために必要な売上高は、固定費および変動費率が変わらない場合、3億円である。
  4. 変動費率が10ポイント上昇すると、損益分岐点売上高が2,000万円上昇する。

正解 4

問題難易度
肢110.1%
肢218.2%
肢321.9%
肢449.8%

解説

まず、損益分岐点売上高を求めておきます。損益分岐点売上高の公式は次のとおりです。

 損益分岐点売上高=固定費÷限界利益率

限界利益は「2億円-8,000万円=1億2,000万円」なので、限界利益率は「1億2,000万円÷2億円×100=60%」です。固定費は3,000万円なので、損益分岐点売上高は、

 3,000万円÷60%=5,000万円

  1. 適切。経営安全率(安全余裕率)は「1-損益分岐点比率」で計算します。損益分岐点比率は「損益分岐点売上高÷売上高×100」の式で求めるので、
     損益分岐点比率 5,000万円÷2億円×100=25%
     経営安全率 1-25%=75%
    したがって記述は適切です。
  2. 適切。現状の固定費3,000万円が1,200万円減って1,800万円になった場合、損益分岐点売上高は、
     1,800万円÷60%=3,000万円
    損益分岐点売上高は従前の5,000万円から2,000万円下がります。したがって記述は適切です。
  3. 適切。目標利益達成売上高は「(固定費+目標利益)÷限界利益率」の式で計算します。固定費は3,000万円、目標利益は1億5,000万円なので、
     (3,000万円+1億5,000万円)÷60%=3億円
    したがって記述は適切です。
  4. [不適切]。現状の変動費率は「8,000万円÷2億円×40%」なので、10ポイント上昇すると50%になります。限界利益率=(1-変動率)より、限界利益率は「1-50%=50%」となるので、損益分岐点売上高は、
     3,000万円÷50%=6,000万円
    損益分岐点売上高は3,000万円増えます。したがって記述は誤りです。
したがって不適切な記述は[4]です。