FP1級 2026年5月学科試験 問50
問50
中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律による「遺留分に関する民法の特例」(以下、「本特例」という)に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。なお、本問における推定相続人とは、相続が開始した場合に相続人となるべき者のうち、被相続人の兄弟姉妹およびこれらの者の子以外の者をいう。
- 本特例の対象となる後継者は、旧代表者の推定相続人のうち、旧代表者からの贈与により非上場株式を取得したことにより特例中小会社の総株主の議決権の過半数を有し、かつ、当該特例中小会社の代表者である者に限られる。
- 後継者が旧代表者からの贈与により取得した非上場株式について、除外合意をする場合は、その全部または一部を合意の対象とすることができるが、固定合意をする場合は、その全部を合意の対象としなければならない。
- 後継者が旧代表者からの贈与により取得した非上場株式について除外合意をする場合、併せて、後継者以外の推定相続人が旧代表者からの贈与により取得した財産の価額を、遺留分を算定するための財産の価額に算入しない旨の定めをすることができる。
- 本特例に係る合意について家庭裁判所の許可を受けるためには、原則として、当該合意の当事者全員が家庭裁判所に出向いて申立てを行い、当該合意が当事者全員の真意に出たものであることを明らかにする必要がある。
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正解 3
問題難易度
肢112.4%
肢214.4%
肢354.0%
肢419.2%
肢214.4%
肢354.0%
肢419.2%
分野
科目:F.相続・事業承継細目:9.事業承継対策
解説
「遺留分に関する民法の特例」は、後継者が先代経営者から受けた自社株式の贈与の価額について、特別受益による遺留分算定基礎財産への算入から除く制度で、除外合意と固定合意があります。遺留分侵害額請求による自社株の分散を防ぐことで、中小企業の安定した事業承継を支援する目的があります。
- 除外合意
- 贈与を受けた自社株について、遺留分算定基礎財産に加算しない合意。遺留分侵害額請求による自社株の分散を防ぐ
- 固定合意(株式のみ)
- 贈与を受けた自社株について、遺留分算定基礎財産に加算する額をあらかじめ合意した時価に固定する合意。後継者の経営努力によって価値上昇した分が加算対象外となるので、経営意欲に悪影響を与えないようになる
- 不適切。後継者は旧代表者の推定相続人に限定されません。本特例における後継者の要件は下表のようになっていて、合意時点で代表者であり、旧代表者からの贈与で株式を取得することにより議決権の過半数を保有することになる者であれば、本特例の対象となる後継者に該当します(円滑化法3条3項)。
本特例の対象となる後継者は、旧代表者の推定相続人のうち、旧代表者から贈与により非上場株式を取得したことにより特例中小会社の総株主の議決権の過半数を有し、かつ、合意時点において当該特例中小会社の代表者である者に限られる。(2024.1-50-1)本特例の対象となる後継者は、旧代表者の推定相続人のうち、旧代表者から贈与により非上場株式を取得したことにより特例中小企業者の総株主の議決権の過半数を保有し、かつ、合意時点において当該特例中小企業者の代表者である者に限られる。(2019.9-49-1)本特例の対象となる後継者は、旧代表者の推定相続人のうち、合意時点において特例中小企業者の代表者である者に限られる。(2017.1-50-2) - 不適切。本特例では、除外合意・固定合意のどちらであっても、対象とする非上場株式の全部または一部を合意の対象とすることができます(円滑化法4条)。
- [適切]。本特例では株式について除外合意または固定合意をする際に、それと併せて、後継者・推定相続人が旧代表者からの贈与等により取得した株式以外の財産について、遺留分算定基礎財産の価額から除外する定めをすることができます(円滑化法5条・6条)。後継者が旧代表者から贈与を受けた非上場株式について除外合意をする際に、併せて、後継者が旧代表者から贈与を受けた非上場株式以外の財産の価額を、遺留分を算定するための財産の価額に算入しない旨の定めをする場合、その定めの対象となる財産は、特例中小会社の事業に係る不動産および減価償却資産に限られる。(2024.9-50-3)後継者が旧代表者から贈与を受けた非上場株式について固定合意をする場合、併せて、後継者が旧代表者から贈与を受けた非上場株式以外の財産について、遺留分を算定するための財産の価額に算入しない旨の定めをすることができる。(2024.1-50-3)除外合意と固定合意の双方またはいずれか一方の合意をした場合、後継者以外の推定相続人が旧代表者からの贈与により取得した財産の価額を遺留分算定基礎財産の価額から除外する旨の定めをすることもできる。(2017.1-50-3)
- 不適切。本特例について家庭裁判所の許可を受けるには、後継者・旧代表者・旧代表者の推定相続人全員で行った合意について、その合意が当事者全員の真意に出たものであるとの心証を得ることが要件とされています。この審査は、原則として書面により行われるため、通常は当事者全員が家庭裁判所に出頭する必要はありません(円滑化法8条)。
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