損害保険(全62問中51問目)

No.51

自動車損害賠償保障法および自動車損害賠償責任保険(以下、「自賠責保険」という)に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
2015年10月試験 問13
  1. 民法では、不法行為における加害者に故意や過失があったことの立証責任は損害賠償請求をする被害者側にあるが、自動車損害賠償保障法では、被害者または運転者以外の第三者に故意や過失があったこと等の立証責任は加害者側にある。
  2. 複数台の自動車による事故において、共同不法行為により他人の身体に損害を与えた場合、自賠責保険の保険金支払限度額は、加害者の有効な自賠責保険の契約数を乗じたものになる。
  3. 政府が行う自動車損害賠償保障事業では、被害者が直接政府の保障事業に請求することにより、自賠責保険と同じ支払限度額の保障を受けられ、被害者が健康保険や労働者災害補償保険などの社会保険から給付が受けられる場合には、その金額を差し引いて支払われる。
  4. 自賠責保険では、被害者の過失割合が5割以上の場合、重過失減額制度により、原則として保険金の支払限度額が被害者の過失割合に応じて減額される。

正解 4

問題難易度
肢1100.0%
肢20.0%
肢30.0%
肢40.0%

解説

  1. 適切。民法の不法行為責任(契約関係以外から生じた権利侵害)を追及するには、加害者に故意または過失があったことについて、被害者側が立証しなくてはなりません。しかし、一般人が故意または過失を立証することは簡単ではありません。このため、自賠法では立証責任を転換し、加害者側に無過失または自動車の欠陥等を証明する義務を負わせることで被害者の保護を図っています(自賠法3条)。
  2. 適切。自賠責保険は自動車一両ごとに加入するものなので、多重事故などで自動車事故の加害者が複数存在する場合、被害者はそれぞれの加害者の自賠責保険に対して保険金を請求することができます。このため、保険金の支払限度額は「通常の保険金額×加害車両数」となります。
    複数台の自動車による事故において、共同不法行為により他人の身体に損害を与えた場合、自賠責保険の保険金額に加害者の有効な自賠責保険の契約数を乗じたものが、保険金の支払限度額になる。2023.5-13-2
    複数台の自動車による事故において、共同不法行為により身体に損害を被った場合、自賠責保険により支払われる保険金等は、加害者の有効な自賠責保険契約に係る保険金額を合算した額が限度となる。2019.1-13-1
  3. 適切。政府保障事業は、自賠責保険の支払基準に準じて保険金を支払いますが、健康保険や労働者災害補償保険などの社会保険から損害のてん補に相当する給付を受ける場合は、その金額が差し引かれて支払われます(自賠法73条)。
    政府保障事業による損害のてん補は、自賠責保険の支払基準に準じて支払われるが、被害者が健康保険や労働者災害補償保険などの社会保険からの給付を受けることができる場合には、その金額が差し引かれててん補される。2019.1-13-3
    自動車損害賠償保障事業から支払われる損害のてん補は、被害者が健康保険や労働者災害補償保険等による損害のてん補に相当する給付を受けられる場合であっても、社会政策的見地から、他の給付と調整されることはない。2014.1-14-2
  4. [不適切]。5割ではありません。自賠責保険は被害者の保護を目的としているため、厳格な過失相殺は適用されません。ただし、被害者に過失割合7割以上の重大な過失がある場合に限って下表のように保険金額が減額されます(金融庁・国土交通省告示第6)。※減額割合まで覚える必要はありません
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    自賠責保険では、自動車事故の被害者の過失割合が5割以上の場合、積算した損害額が保険金額に満たないときには積算した損害額から、保険金額以上となるときには保険金額から、被害者の過失割合に応じて2割から5割の減額が行われる。2023.5-13-4
    自賠責保険では、被害者の過失割合が7割以上10割未満である場合、重過失減額制度により、原則として、自賠責保険により支払われるべき保険金等が被害者の過失割合に応じて減額される。2019.1-13-2
したがって不適切な記述は[4]です。