金融商品と税金(全26問中3問目)

No.3

個人(居住者)が購入等する外貨建て金融商品の課税関係に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
2023年9月試験 問22
  1. 外国銀行の在日支店に預け入れた外貨預金の利子は、利子所得として総合課税の対象となる。
  2. 国内に所在するX銀行に預け入れた米ドル建ての定期預金が満期となり、満期日にその元本部分を国内のY銀行に米ドルのまま預け入れた場合、その元本部分に係る為替差益は認識しないでよいとされる。
  3. 国内に所在する証券会社を通じて売却した外貨建てMMFについて為替差益が生じた場合、当該為替差益は、譲渡所得として申告分離課税の対象となる。
  4. 国内に所在する証券会社を通じて支払われた外国利付債券(国外特定公社債)の利子は、利子所得として申告分離課税の対象となり、外国所得税が課されている場合は、確定申告により外国税額控除の適用を受けることができる。

正解 1

問題難易度
肢139.4%
肢222.0%
肢323.2%
肢415.4%

解説

  1. [不適切]。総合課税ではありません。国内の銀行や外国銀行の日本支店等に預け入れた米ドル建てなどの外貨預金の利子は、円を預けた場合と同様に利子所得として源泉分離課税の対象となります。また為替差益がある場合、為替予約のないときは雑所得として総合課税の対象となり、為替予約のあるときは雑所得として源泉分離課税の対象となります。
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    外国銀行の在日支店に預け入れた外貨定期預金の利子は、20.315%の税率による源泉分離課税の対象となり、外国銀行の海外支店に預け入れた外貨定期預金の利子は、利子所得として総合課税の対象となる。2024.9-23-1
  2. 適切。外貨建て預金として預け入れていた元本部分の金銭について、同一の外国通貨で、同一または別の金融機関に引き続いて預貯金として預け入れた場合は、為替差益の発生原因となる外貨建取引に該当しないものとされています(所得税法令167条の6)。為替差益が認識されるのは外貨建取引を行ったときなので、本ケースでは元本部分に係る為替差損益が認識されることはありません。同一の外国通貨で預入および払出が行われる限り、その金額に増減はなく、実質的には外貨を保有し続けている場合と変わりはないためです。
    参考URL: 外貨建預貯金の預入及び払出に係る為替差損益の取扱い
    https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/shotoku/02/39.htm
    国内のX銀行に預け入れた米ドル建ての定期預金が満期となり、満期日にその元本部分を国内のY銀行に米ドルのまま預け入れた場合、X銀行の当該定期預金の元本部分における為替差益に係る雑所得の金額は、原則として、満期日においてX銀行が公表する対顧客直物電信買相場(TTB)により邦貨換算して計算する。2024.9-23-2
    国内のX銀行に預け入れた米ドル建ての定期預金が満期となり、満期日にその元本部分を国内のY銀行に米ドルのまま預け入れた場合、X銀行の当該定期預金の元本部分における為替差益に係る雑所得の金額は、原則として、満期日においてX銀行が公表する対顧客直物電信買相場(TTB)により邦貨換算して計算する。2022.1-23-2
  3. 適切。外貨建てMMF(外貨建て債券)の課税関係は、国内の特定公社債と同じく、分配金は利子所得として計20.315%で源泉徴収、譲渡所得は計20.315%の税率で課税され、どちらも申告分離課税です。申告分離課税となる外貨建て金融商品の為替差損益は、譲渡所得に含めて計算します。雑所得となる外貨建て預金の為替差益との違いに注意しましょう。
  4. 適切。国内の証券会社を通じて受け取る外国利付債券の利子は、国内の特定公社債の利子と同じく、国内で受け取る際に計20.315%が源泉徴収され、申告分離課税の対象となります。国外の法律に基づいて源泉徴収等された額がある場合、その額は外国所得控除として一定額の税額控除を受けることができます。
    国内の証券会社を通じて交付を受ける外国利付債券(国外特定公社債)の利子は、利子所得として申告分離課税の対象となり、確定申告不要制度を選択することはできない。2024.9-23-4
    国内の証券会社を通じて交付を受ける上場外国株式の配当については、確定申告不要制度を選択することができない。2022.1-23-3
    国内の証券会社を通じて交付を受ける外国利付債券(国外特定公社債)の利子は、申告分離課税の対象となり、確定申告不要制度を選択することができない。2022.1-23-4
    日本国内に所在する証券会社を通じて支払を受ける外国利付債券の利子は、申告分離課税の対象となる。2015.1-23-1
したがって不適切な記述は[1]です。