相続と法律(全46問中13問目)

No.13

民法における特別寄与料に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
2022年1月試験 問46
  1. 特別寄与料を請求することができる特別寄与者は、被相続人の親族(相続人、相続の放棄をした者などを除く)に限られ、内縁関係にある者や親族以外の者は対象とならない。
  2. 特別寄与料に係る特別の寄与は、被相続人の事業に関する労務の提供または財産上の給付、被相続人の療養看護その他の方法によるものとされ、寄与分に比べて、その範囲は限定されている。
  3. 特別寄与料の支払について、相続人と特別寄与者の間で協議が調わない場合、特別寄与者は家庭裁判所に対して協議に代わる処分を請求することができるが、その申立は相続の開始があったことを知った時から3カ月以内にしなければならない。
  4. 特別寄与料は、特別寄与者が被相続人から遺贈により取得したものとみなされ、納付すべき相続税額が算出されるときは、相続の開始があったことを知った日の翌日から10カ月以内に相続税の申告書を提出しなければならない。

正解 1

問題難易度
肢146.7%
肢215.2%
肢312.6%
肢425.5%

解説

  1. [適切]。相続人に特別寄与料を請求することができる特別寄与者は、被相続人の親族であって相続人でない人に限られます。したがって、内縁関係にある者や親族以外の者は対象となりません。また相続の放棄・欠格・廃除で相続権を失った人も対象外です(民法1050条1項)。
    特別寄与料の支払を請求することができる特別寄与者は、被相続人の親族以外の者に限られる。2022.5-45-1
  2. 不適切。相続人以外の親族が請求できる特別寄与料と、相続人が他の相続人に主張できる寄与分の対象となる行為には以下の違いがあります(民法904条の2、民法1050条1項)。
    特別寄与料
    被相続人に対する無償の療養看護その他の労務の提供
    寄与分
    被相続人の事業に関する労務の提供又は財産上の給付、被相続人の療養看護など
    本肢は寄与分の対象となる行為について説明した文なので誤りです。後半の「寄与分に比べて、その範囲は限定されている」という説明は適切です。
  3. 不適切。特別寄与料について当事者間で協議が調わない場合に家庭裁判所に対して行う特別寄与料の申立は、特別寄与者が相続の開始および相続人を知った時から6カ月以内、または相続開始の時から1年以内に行わなければなりません(民法1050条2項)。
    特別寄与料の支払について、相続人と特別寄与者の間で協議が調わない場合、特別寄与者は家庭裁判所に対して協議に代わる処分を請求することができるが、その申立は相続の開始があったことを知った時から4カ月以内にしなければならない。2022.5-45-3
  4. 不適切。特別寄与料は、被相続人から遺贈により取得したものとみなされます。納付すべき相続税額が算出されるときは、特別寄与料の金額が定まったことを知った日の翌日から10カ月以内に相続税の申告書を提出しなければなりません(相続税法4条2項)。
    特別寄与料は、特別寄与者が被相続人から遺贈により取得したものとみなされ、納付すべき相続税額が算出されるときは、原則として、特別寄与料の額が確定したことを知った日の翌日から10カ月以内に相続税の申告書を提出しなければならない。2022.5-45-4
したがって適切な記述は[1]です。