相続と税金(全63問中10問目)

No.10

相続税の課税財産に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
2023年1月試験 問45
  1. Aさんが購入した不動産について、所有権の移転登記が行われる前にAさんの相続が開始し、当該不動産をAさんの配偶者が相続により取得した場合、当該不動産は、相続税の課税対象とならない。
  2. 老齢基礎年金の受給権者であるBさんが死亡し、その死亡後に支給期が到来するBさんの年金をBさんの配偶者が受け取った場合、当該年金は、相続税の課税対象とならない。
  3. 金銭信託の委託者であるCさんの死亡に基因して当該信託の効力が生じ、Cさんの子が適正な対価を負担せずに当該信託の受益者となった場合、当該信託に関する権利は、相続税の課税対象とならない。
  4. 特別寄与者であるDさんが支払を受けるべき特別寄与料の額が確定した場合、当該特別寄与料の額に相当する金額は、相続税の課税対象とならない。

正解 2

問題難易度
肢15.3%
肢269.2%
肢37.4%
肢418.1%

解説

  1. 不適切。売買契約の締結により不動産の所有権はAさんに移っていますから、当該不動産はAさんの相続財産に含まれます。この場合、相続人(Aさんの配偶者)は不動産の売主に対して被相続人への所有権移転登記を請求した後、相続登記をすることになります。
    会社役員であるCさんが2024年6月3日に不動産を購入後、所有権の移転登記を行う前に死亡した場合、Cさんの子が相続により取得した当該不動産は、相続税の課税対象となる。2024.9-46-3
    Aさんが2024年3月25日に死亡し、Aさんが2024年3月10日に購入し、相続開始時において所有権の移転登記がされていなかった不動産をAさんの妻が相続により取得した。この場合、Aさんの妻が取得した当該不動産は、相続税の課税対象となる財産に含まれる。2016.1-46-1
  2. [適切]。国民年金法では、年金の受給権者が死亡した場合に、その死亡した者に支給すべき年金でまだその者に支給されていないものがあるときは、その者と同一生計であった配偶者、子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹その他の親族が、自己の名でその未支給年金を請求することができると定めています。つまり、未支給年金請求権は相続財産として法定相続人に承継される権利ではなく、一定範囲の遺族の生活保障のために認められる権利という性質を持ちます。したがって、被相続人の未支給年金請求権は相続の対象とはならず、相続税の課税財産にも含まれません。遺族が受け取った未支給年金は遺族の一時所得として所得税の課税対象となります。
    退職年金を受給している者の死亡により、その相続人が当該年金を継続して受給することとなった場合、当該年金の受給に関する権利は、その相続人が相続または遺贈により取得したものとみなされ相続税の課税対象となる。2024.1-44-4
    契約者および被保険者を相続人とする生命保険契約の保険料を被相続人が負担していた場合における生命保険契約に関する権利は、契約者が相続または遺贈によって取得したものとみなして相続税の課税対象となるが、死亡保険金の非課税金額の規定は適用されない。2016.9-46-2
  3. 不適切。信託の効力が生じた場合に、適正な対価を負担せずに信託の受益者等となるときは、委託者から贈与により信託に関する権利を取得したものとみなされます(相続税法9条の2)。死亡により信託の効力が生じた場合、その信託受益権は遺贈により取得したものとみなされ、相続税の課税対象となります。
  4. 不適切。特別寄与料とは、被相続人の親族のうち相続人以外の者が無償で介護や事業を手伝っていた場合にその貢献に応じて金銭を請求できる制度です。特別寄与料が支払われた場合、被相続人から遺贈により取得したものとみなされ、相続税の課税対象となります(相続税法4条2項)。
    特別寄与者であるDさんが支払を受けるべき特別寄与料の額が確定した場合、当該特別寄与料の額に相当する金額は、Dさんが、Dさんによる特別の寄与を受けた被相続人から遺贈により取得したものとみなされ、相続税の課税対象となる。2024.9-46-4
したがって適切な記述は[2]です。