FP1級過去問題 2019年5月学科試験 問46

問46

相続税法上の債務控除に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、各選択肢において、相続人は日本国内に住所を有する個人であり、相続または遺贈により財産を取得したものとする。
  1. 相続人が、被相続人の1月1日から死亡日までの所得金額に係る確定申告書を提出して所得税を納付した場合、その所得税額は債務控除の対象となる。
  2. 相続人が、相続財産の価額の算定のために要する鑑定費用を支払った場合、その費用は、社会通念上相当な金額であれば、債務控除の対象となる。
  3. 被相続人が生前に購入した墓碑の購入費で、相続開始時に未払いであったものについて、相続開始後に相続人が支払った場合、その支払代金は債務控除の対象とならない。
  4. 相続人が承継した被相続人の保証債務は、主たる債務者が弁済不能の状態でない場合、債務控除の対象とならない。

正解 2

問題難易度
肢16.4%
肢268.7%
肢314.0%
肢410.9%

解説

  1. 適切。相続人が被相続人死亡後に支払った被相続人の所得税・住民税・固定資産税などの租税公課は、債務控除の対象となります。
    相続人が、被相続人の1月1日から死亡日までの所得金額に係る確定申告書を提出して所得税を納付した場合、その所得税額は債務控除の対象とならない。2023.1-47-1
    相続人が、被相続人の1月1日から死亡日までの所得金額に係る確定申告書を提出して所得税を納付した場合、その所得税額は債務控除の対象とならない。2021.1-46-3
  2. [不適切]。相続に関する費用は債務控除に該当しないため、相続人が相続財産の価額の算定のために要した鑑定費用や相続登記費用および遺産分割に要した費用は、債務控除の対象とはなりません。
    相続人が、相続財産の価額の算定のために要する鑑定費用を支払った場合、その費用は、社会通念上相当な金額であれば、債務控除の対象となる。2023.1-47-2
  3. 適切。被相続人が生前に購入した墓碑や仏壇・仏具等は相続税では非課税財産となります。よって、それらの購入費・維持管理費に関する支払債務は債務控除の対象とはなりません。
    被相続人が生前に購入した墓碑の購入費で、相続開始時に未払いであったものについて、相続開始後に相続人が支払った場合、その支払代金は債務控除の対象となる。2021.1-46-1
    被相続人に係る医療費で、相続開始時に未払いであったものについて、相続開始後に相続人が負担し、その相続人の所得税の医療費控除の対象となる場合、その医療費は債務控除の対象とならない。2021.1-46-2
    被相続人が生前に購入した不動産について、相続開始から3カ月経過後に届いた納税通知書に基づいて相続人が納付した不動産取得税は、債務控除の対象とならない。2017.9-46-1
    被相続人が生前に購入した墓碑の購入費で、相続開始時に未払いであったものについて、相続開始後に相続人が負担した未払代金は、債務控除の対象とならない。2017.9-46-2
    被相続人に係る医療費で、相続開始時に未払いであったものについて、相続開始後に相続人が負担し、その相続人の所得税の医療費控除の対象となる医療費は、債務控除の対象とならない。2017.9-46-3
    被相続人から受け継いだ裁判において、相続開始から2カ月経過後に成立した和解に基づいて相続人が支払った和解金は、債務控除の対象となる。2017.9-46-4
  4. 適切。相続人が承継した被相続人の保証債務は、債務が確定しているものではないので原則として債務控除の対象ではありません。ただし、主たる債務者が弁済不能の状態にあり、求償権を行使しても弁済を受けられる見込みがないと認められたときは、債務控除の対象とすることが可能です。
    相続人が承継した被相続人の保証債務は、原則として、債務控除の対象とならないが、主たる債務者が弁済不能の状態で保証債務を履行しなければならず、かつ、主たる債務者に求償しても返還を受ける見込みがない場合には、当該債務者が弁済不能の部分の金額について、債務控除の対象となる。2022.1-47-1
    保証債務は、原則として債務控除の対象とならないが、主たる債務者が弁済不能の状態で保証債務を履行しなければならず、かつ、主たる債務者に求償しても返還を受ける見込みがない場合には、当該債務者が弁済不能の部分の金額について、債務控除の対象となる。2015.1-46-4
したがって不適切な記述は[2]です。