相続と税金(全56問中35問目)

No.35

2023年10月に死亡したAさんの下記の親族関係図に基づき、Aさんの相続に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。なお、Aさんの父母および長男はAさんの相続開始前に既に死亡しており、孫Eさんおよび孫FさんはいずれもAさんの普通養子(特別養子縁組以外の縁組による養子)である。また、妻Bさん、長女Cさん、二男Dさん、孫Eさん、孫Fさん、孫Gさん、姉HさんはいずれもAさんから相続または遺贈により財産を取得し、相続税額が算出されるものとする。
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2018年1月試験 問47
  1. 孫Fさんの法定相続分は、8分の1である。
  2. 相続税額の計算における遺産に係る基礎控除額は、6,000万円である。
  3. 相続税額の計算上、相続税額の2割加算の対象となる者は、孫Eさん、孫Fさん、孫Gさん、姉Hさんの4人である。
  4. 孫Gさんは、Aさんの相続が開始した日において18歳未満であれば、相続税額の計算上、未成年者控除の適用を受けることができる。

正解 2

問題難易度
肢112.4%
肢271.2%
肢36.5%
肢49.9%

解説

まず法定相続人の組合せを考えます。
第1順位に当たる子がいるので配偶者である妻Bさんとともに法定相続人となります。Aさんの子は、長女Cさん、孫Eさん、長男を代襲相続する孫Fさん、二男Dさんの4人なので、法定相続人は妻Bさんを含めて5人となります。ここで注意しなければならないのは、孫Fさんが普通養子の立場および子を代襲する立場として「二重相続資格者」になるということです。
  1. 不適切。法定相続人が配偶者と子の場合の法定相続分は、配偶者1/2、子1/2です。相続人の中に二重資格者がいる場合、相続分は2人分を合わせたものとなるので孫Fさんの法定相続分は「1/2×1/5×2人=1/5」となります。
    • 妻Bさん … 1/2
    • 長女Cさん、孫Eさん、二男Dさん … 1/2×1/5=1/10
    • 孫Fさん(2人分) … 1/2×1/5×2=1/5
  2. [適切]。遺産に係る基礎控除額は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」で計算します。相続税法上の法定相続人の数は「二重相続資格者」がいても2人分とカウントせず、そのまま1人と数えます。また、法定相続人の数に算入できる養子の数は、実子がいる場合は1人まで、実子がいない場合は2人までに制限されます。
    以上を踏まえると、養子以外の相続人が妻Bさん、長女Cさん、長男を代襲相続する孫Fさん、二男Dさんの4人、これに普通養子である孫Eさんを加えた5人が相続税法上の法定相続人の数となります。よって、遺産に係る基礎控除額は「3,000万円+600万円×5=6,000万円」です。
  3. 不適切。2割加算の対象となるのは、被相続人の配偶者・父母・子以外の人です。具体的には、孫、兄弟姉妹、祖父母等が2割加算の対象となります。注意するべき点は、孫養子は2割加算の対象ですが、子を代襲相続する孫等は2割加算の対象外になるという点です。
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    設例では、兄弟姉妹に当たる姉Hさん、孫養子であり代襲相続をしない孫Eさんおよび孫Gさんが2割加算の対象となります。孫Fさんは代襲相続者ですので2割加算の対象外です。
  4. 不適切。未成年者控除の以下の適用要件を満たす人の相続税額から「(18-年齢)×10万円」を控除できる規定です(※1年未満の期間があるときは切り上げて1年)。
    • 日本国内に住所がある人
    • 相続や遺贈で財産を取得したときに18歳未満である人
    • 法定相続人であること
      ※相続の放棄があった場合には、その放棄がなかったものとした場合における相続人であること
    孫Gさんは法定相続人ではないので未成年者控除の適用を受けることはできません。
したがって適切な記述は[2]です。