FP1級過去問題 2014年1月学科試験 問28(改題)

問28

所得税における寄附金控除に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、各選択肢において、ほかに必要とされる要件等はすべて満たしているものとする。
  1. 寄附金控除の額は、東日本大震災に関して支出した震災関連寄附金がない場合、「特定寄附金の額の合計額-2,000円」または「総所得金額等×40%-2,000円」のいずれか低い金額である。
  2. 私立学校法に規定する学校法人に対して寄附した場合、学校の設置を主たる目的とする寄附金は寄附金控除の対象となるが、入学に関して行った寄附金は寄附金控除の対象とはならない。
  3. 国または地方公共団体に対して個人が所有する財産を寄附した場合、寄附した当該財産の相続税評価額が特定寄附金の額として寄附金控除の対象となる。
  4. 特定新規中小会社に該当する一定の株式会社により発行された株式を、その発行の際に払込みにより取得した場合、当該株式の取得に要した金額は、800万円を限度として寄附金控除の対象となる。

正解 3

問題難易度
肢117.7%
肢210.2%
肢355.6%
肢416.5%

解説

  1. 適切。寄附金控除の控除額は、次のいずれか低い金額となります。
    • 特定寄附金の額の合計額-2,000円
    • 総所得金額等×40%-2,000円
  2. 適切。私立学校法に規定する学校法人に行った寄附は、各種学校の設置を主たる目的とするものに限り寄附金控除の対象となります。学校の入学に関してするものは対象外です。
  3. [不適切]。国や地方公共団体に対して財産を寄付した場合、受けられる寄附金控除の額は、その財産の取得費に寄付に要した費用を加えた額となります。相続税評価額(時価)が控除されるわけではありません。
  4. 適切。個人が、特定新規中小会社により発行される特定新規株式を払込みにより取得した場合、当該特定新規株式の取得に要した金額は、800万円を限度に寄附金控除の対象となります。ベンチャー企業に対する投資の促進を図るためのエンジェル税制の仕組みです。
    2020年(令和2年)分までは控除限度額が1,000万円でした。
    納税者が、特定新規中小企業者に該当する一定の株式会社により発行される株式を、その発行の際に払込みにより取得した場合、その控除対象特定新規株式の取得に要した金額は、800万円を限度として寄附金控除の対象となる。2019.9-28-3
したがって不適切な記述は[3]です。