FP1級過去問題 2015年1月学科試験 問28(改題)

問28

所得税の雑損控除に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
  1. 雑損控除は、居住者等が保有する生活に通常必要な資産について、災害、盗難または詐欺等による損失が生じた場合に適用を受けることができるが、その適用を受けるためには確定申告をする必要がある。
  2. 雑損控除の適用が認められる資産の範囲は、居住者またはその者と生計を一にする配偶者その他の親族で総所得金額等が48万円以下である者が保有する資産に限られる。
  3. 住宅について受けた損失の金額は、「損失を受けた時の直前における価額」または「取得時の価額」のいずれか高い金額に基づいて計算される。
  4. 雑損控除の額は、「損失額のうち災害関連支出の金額-5万円」または「損失の金額-総所得金額等×10%」のいずれか低い金額である。

正解 2

問題難易度
肢111.5%
肢244.6%
肢38.5%
肢435.4%

解説

雑損控除は、災害又は盗難若しくは横領によって、資産について損害を受けた場合等に、一定金額の所得控除を受けられる制度です。
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  1. 不適切。雑損控除は詐欺によって生じた損失については適用を受けることができません。後半の「適用を受けるためには確定申告をする必要がある」という記述は適切です。
  2. [適切]。雑損控除は、納税者または納税者と生計を一にする親族で総所得金額が48万円以下の者が所有する資産であることが適用要件となっています。
  3. 不適切。住宅の損失は「その損失の生じた時の直前におけるその資産の価額」を基に計算するのが原則です。ただし、住宅の主要構造部に損壊がある場合で、かつ、損害を受けた資産について個々に損失額を計算することが困難な場合には、住宅の取得価額から使用年数分の減価償却費を差し引いた金額に被害割合を乗じて求めます。住宅の取得価額が不明な場合は、「1㎡当たりの工事費用×総床面積」を住宅取得価額として計算します。
  4. 不適切。雑損控除の控除額は、以下のいずれか多い額となります。本肢は「低い額」としているので誤りです。
    • 差引損失額-総所得金額等×10
    • 差引損失額のうち災害関連支出の金額-5万円
    雑損控除の控除額は、災害関連支出がない場合、損害金額(保険金等により補填される金額を除く)からその年分の総所得金額等の合計額の5%相当額を控除して計算される。2020.9-28-3
    雑損控除の控除額は、災害関連支出がない場合、損害金額(保険金等により補てんされる金額を除く)から総所得金額等の合計額の5%相当額を差し引いて計算される。2016.9-28-2
したがって適切な記述は[2]です。