FP1級過去問題 2014年1月学科試験 問31

問31

内国法人が支出する交際費等(租税特別措置法の「交際費等の損金不算入」に規定するものをいう)に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、当該法人は2024年4月1日から2025年3月31日までの間に事業を開始する1年決算法人であり、設立事業年度等ではないものとする。
  1. 期末の資本金の額が1億円を超える法人が支出した交際費等のうち、接待飲食費以外のために支出した額は、金額の多寡にかかわらず、その全額が損金不算入となる。
  2. 期末の資本金の額が1億円以下である法人が支出した交際費等が年間600万円の場合、損金の額に算入できる交際費等の額は540万円である。
  3. 期末の資本金の額が1億円以下である法人であっても、当該法人が、資本金の額が5億円以上である法人の100%子会社である場合には、当該法人が支出した交際費等のうち、接待飲食費以外のために支出した額は、その全額が損金不算入となる。
  4. 期末の資本金の額が1億円以下である法人であっても、当該法人が、完全支配関係がある複数の法人(資本金の額が5億円以上)に発行済株式のすべてを保有されている場合には、当該法人が支出した交際費等のうち、接待飲食費以外のために支出した額は、その全額が損金不算入となる。

正解 2

問題難易度
肢113.4%
肢277.5%
肢34.6%
肢44.5%

解説

交際費等の損金算入限度額については、中小法人と大規模法人で異なります。
資本金等の額が1億円以下である法人(資本金等の額が5億円以上の法人の100%子会社を除く)
接待飲食費の50%または800万円
期末資本金等が1億円を超える法人
接待飲食費の50
期末資本金等が100億円を超える法人
0円(全額が損金不算入)
  1. 適切。期末資本金等が1億円を超える法人は、接待飲食費の50%が損金算入限度額となります。交際費のうち接待飲食費以外のために支出した額は、全額が損金不算入です。
  2. [不適切]。資本金等の額が1億円以下である法人は、接待飲食費の50%か800万円が損金算入限度額となります。600万円≦800万円なので交際費等の額の全額を損金に算入することができます。
    平成21年4月1日から平成25年3月31日に開始する事業年度においては、中小法人等が支出した交際費等の額のうち「600万円×90%=540万円」が損金算入限度額とされていました。
  3. 適切。期末の資本金の額が1億円以下である法人であっても、資本金等の額が5億円以上である大法人との間による完全支配関係がある場合には、「期末資本金等が1億円を超える法人」として損金算入限度額を計算します(法人税法66条6項2号)。よって、交際費のうち接待飲食費以外のために支出した額は、全額が損金不算入です。
  4. 適切。期末の資本金の額が1億円以下である法人であっても、資本金等の額が5億円以上である複数の大法人の関係において完全支配関係がある場合には、「期末資本金等が1億円を超える法人」として損金算入限度額を計算します(法人税法66条6項3号)。交際費のうち接待飲食費以外のために支出した額は、全額が損金不算入です。
したがって不適切な記述は[2]です。