FP1級過去問題 2014年1月学科試験 問41

問41

借地借家法の定期借地権および定期建物賃貸借に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
  1. 存続期間を30年以上50年未満として事業用定期借地権を設定するには、借地権設定契約の締結時に、契約の更新および建物の築造による存続期間の延長がなく、建物の買取りの請求をしないこととする旨を特約として定める必要がある。
  2. 自己やその親族以外の第三者が居住するための賃貸マンションの所有を目的として設定する場合の定期借地権の種類については、もっぱら事業用の建物の所有を目的とする事業用借地権または事業用定期借地権とすることができる。
  3. 建物の所有を目的とする賃借権である定期借地権のうち、一般定期借地権および事業用定期借地権等については、その設定契約を締結すれば、直ちにその効力が発生するが、建物譲渡特約付借地権については、その設定契約締結後にその借地権の設定登記をすることによって、その効力を生ずる。
  4. 定期借家契約においては、賃貸借期間の満了により契約は確定的に終了するため、原則として、賃貸人は、期間満了前に賃借人に対して、期間満了により契約が終了する旨の通知をする必要はない。

正解 1

問題難易度
肢152.6%
肢213.2%
肢322.7%
肢411.5%

解説

  1. [適切]。10年以上30年未満の事業用借地権では、①更新がない、②建物買取請求権がない、③建物築造しても存続期間は延長しないの3点セットの特約をする必要がありません。
    事業用定期借地権等の存続期間は10年以上50年未満ですが、借地借家法の規定上、10年以上30年未満の事業用借地権と、30年以上50年未満の事業用定期借地権に分けることができます。"30年以上50年未満"は、①契約更新がなく、②建物買取請求権がない、③建物築造による存続期間の延長がないことを特約で定めることにより定期借地権の効果を得ますが、"10年以上30年未満"は①~③に関して借地借家法の規定が適用外となるので何ら特約をしなくても同様の効果が生じるという違いがあります(借地借家法23条1項・2項)。
    存続期間を10年以上30年未満とする事業用借地権を設定する場合、設定契約時に契約の更新および建物の築造による存続期間の延長がなく、建物の買取請求権を排除する旨を特約として定める必要がある。2023.1-35-1
    存続期間を10年以上30年未満とする事業用借地権を設定する場合には、設定契約時に契約の更新および建物の築造による存続期間の延長がなく、建物の買取請求権を排除する旨を特約として定める必要がある。2022.1-35-1
    存続期間を10年以上30年未満とする事業用定期借地権等を設定する場合には、設定契約時に契約の更新および建物の築造による存続期間の延長がなく、建物の買取請求権を排除する旨を特約として定める必要がある。2019.5-35-3
  2. 不適切。賃貸事業を目的としていても、その建物が賃貸マンションや従業員の社宅であるなど居住用の場合には事業用定期借地権等を設定することはできません
  3. 不適切。どの定期借地権についても契約と同時に効果が生じます。設定登記は必要ありません。設定登記を行うのは、借地権を第三者に対抗するためです。
  4. 不適切。期間1年以上の定期借家契約については、期間満了の1年前から6月前までの間に、賃借人に対し、期間の満了により建物の賃貸借が終了する旨の通知をしなければ、その終了を建物の賃借人に対抗することができません。
したがって適切な記述は[1]です。