FP1級過去問題 2014年1月学科試験 問42

問42

贈与税の配偶者控除に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、各選択肢において、贈与の年においてほかに贈与された財産はなく、ほかに必要とされる要件等はすべて満たしているものとする。
  1. 夫から妻に対して、2024年4月に居住用不動産(相続税評価額2,000万円)の贈与が行われ、2024年11月に贈与者である夫が死亡した場合、妻は贈与税の配偶者控除の適用を受けることができない。
  2. 夫から妻に対して、2023年6月に居住用不動産(相続税評価額2,200万円)の贈与が行われ、妻が贈与税の配偶者控除の適用を受けた後、2024年11月に贈与者である夫が死亡した場合、当該控除の適用を受けた居住用不動産について、200万円が相続税の課税価格に加算される。
  3. 夫から妻に対して、2024年5月に居住用不動産を取得するための金銭2,000万円の贈与が行われ、その金銭により2025年2月に居住用家屋を取得し、2025年4月に居住を開始した場合、妻は贈与税の配偶者控除の適用を受けることができない。
  4. 夫から妻に対して、相続税評価額が3,000万円である店舗併用住宅(店舗部分50%、居住用部分50%)の3分の1の持分の贈与が行われた場合、妻は1,000万円の贈与税の配偶者控除の適用を受けることができる。

正解 1

問題難易度
肢160.4%
肢213.3%
肢315.4%
肢410.9%

解説

  1. [不適切]。相続開始年に居住用財産の贈与があった場合でも、贈与税の配偶者控除の適用を受けることが可能です。その居住用不動産について贈与税の配偶者控除があるものとして控除される部分は、相続税の課税価格に加算されず、相続税の対象となりません。
  2. 適切。贈与税の配偶者控除の適用で控除された部分の財産は、相続税の課税価格に算入する必要がありません。相続が開始した年の贈与であっても、相続開始前7年以内の贈与であっても同様です。これに対して、相続開始前7年以内に暦年贈与課税の対象となった部分は、基礎控除額を含めて相続税の課税価格に算入しなければなりません。したがって本肢の場合、受贈した居住用不動産の価額2,200万円から贈与税の配偶者控除の控除額を除いた「2,200万円-2,000万円=200万円」を相続税の課税価格に加算することになります。
  3. 適切。贈与税の配偶者控除の適用を受けるには、贈与を受けた年の翌年3月15日までに、贈与により取得した居住用不動産または贈与を受けた金銭で取得した居住用不動産に、贈与を受けた者が現実に住んでおり、その後も引き続き住む見込みであることが必要です。本肢は、翌年3月15日までに取得したものの、居住が4月にずれ込んでいるので適用対象外となります。
  4. 適切。店舗併用住宅の持分の贈与を受けた場合、居住用部分から優先的に贈与を受けたものとして計算します。贈与を受けたのは3分の1の持分ですから、店舗併用住宅のうち居住用部分1/3の贈与を受けたものとされます。受贈額は「3,000万円×1/3=1,000万円」ですから、この1,000万円の贈与について贈与税の配偶者控除の適用を受けることができます。
したがって不適切な記述は[1]です。