FP1級過去問題 2014年9月学科試験 問9

問9

生命保険の募集行為に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
  1. 銀行の職員が生命保険募集人として当該銀行の融資先に対して生命保険を募集する行為は、保険の種類を問わず、金融庁が公表する「銀行等による保険募集に関する弊害防止措置等」により禁止されている。
  2. 銀行が預金等の取引を通じて得た顧客の預金残高情報を生命保険の募集に利用する場合には、書面その他適切な方法により、顧客の事前同意が必要となる。
  3. 生命保険の募集にあたり、仕組みや給付内容が異なるにもかかわらず、他社の保険商品が自社の保険商品と同じであるかのように表示した比較資料を使用し誤解を招くような説明をすることは、保険業法により禁止されている。
  4. 市場リスクを有する生命保険(特定保険契約)を販売・勧誘する場合、適合性の原則等など、金融商品取引法の行為規制の一部が準用される。

正解 1

問題難易度
肢184.3%
肢26.2%
肢33.0%
肢46.5%

解説

  1. [不適切]。融資先募集規制とは、銀行等が、事業性資金の融資先に対し、保険契約の締結の代理又は媒介を行なうことを禁止する規制です。融資先による強い影響力を与え得る立場にある銀行による不適切な保険募集を防止するための「弊害防止措置」の1つです(保険業法規則212条の2第2項・3項)。
    本肢は「保険の種類を問わず」としていますが、一時払終身保険及び一時払養老保険若しくは貯蓄性生存保険(いずれも法人契約を除く)、積立傷害保険、積立火災保険等は、融資先募集規制の対象から除外されています。よって、記述は不適切です。
  2. 適切。銀行等が、①顧客の預金情報等を保険募集業務に利用する場合、または②顧客の非公開保険情報を銀行業務等に利用する場合、書面その他の適切な方法による顧客の事前同意を得なければなりません。保険業法に基づき「銀行等による保険募集に関する弊害防止措置等」に定められている非公開情報保護措置です(保険業法規則212条の2第2項)。
  3. 適切。保険募集人が契約者等に対して、他の保険契約の内容との比較を提示するとき、誤解させるおそれのある事項を告げたり表示したりする行為は禁止されています(保険業法300条1項7号)。
  4. 適切。市場リスクが有する投資性の強い保険契約(特定保険契約)の販売・勧誘には、金融商品取引法の中の一部の行為規制(広告等の規制、契約締結前の書面交付義務、契約締結時等の書面交付義務、適合性の原則等)が準用されます(保険業法300条の2)。
したがって不適切な記述は[1]です。