FP1級過去問題 2014年9月学科試験 問48

問48

取引相場のない株式の相続税評価に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
  1. 課税時期において開業後3年未満の会社の株式を同族株主が取得した場合、会社の規模区分にかかわらず、その株式の価額は純資産価額方式によって評価する。
  2. 類似業種比準方式の計算の基礎となる1株当たりの「配当金額」「利益金額」の2要素が3期連続で0(ゼロ)の赤字会社の株式を同族株主が取得した場合、会社の規模区分にかかわらず、その株式の価額は類似業種比準方式によって評価する。
  3. 評価会社が株式保有特定会社に該当するか否かを判定する場合における株式等の保有割合は、大会社については50%以上、中・小会社については75%以上である。
  4. 評価会社が土地保有特定会社に該当するか否かを判定する場合における土地等の保有割合は、大会社については70%以上、中会社については90%以上であるが、小会社と判定される場合については、その保有割合にかかわらず、土地保有特定会社には該当しない。

正解 1

問題難易度
肢147.6%
肢213.9%
肢315.0%
肢423.5%

解説

  1. [適切]。開業後3年未満である会社の株式を同族株主が取得した場合、会社の規模区分にどうかにかかわらず純資産価額方式で評価します。なお、非同族株主が取得した場合には配当還元方式で評価します。
    ※類似業種比準方式の比準要素のすべてがゼロの会社を含みます。
  2. 不適切。直前期末において類似業種比準方式の比準要素のいずれか2つがゼロであり、かつ、直前々期末の比準要素のいずれか2つ以上がゼロである会社(比準要素数1の会社)の株式を、同族株主が取得した場合、原則として純資産価額方式で評価しますが、納税者の選択により「類似業種比準価額×0.25+純資産価額×0.75」で評価することも可能です。なお、非同族株主が取得した場合には配当還元方式で評価します。
  3. 不適切。株式保有特定会社とは、相続税評価額ベースにおける資産総額に対する株式等の価額の割合が50%以上である会社です。大・中・小会社による区別はありません。
    同族株主が取得した株式保有特定会社は、原則として純資産価額方式で評価しますが、納税者の選択により「S1+S2方式」で評価することも可能です。
  4. 不適切。土地保有特定会社とは、相続税評価額ベースにおける資産総額に対する土地等の価額の割合が一定基準以上である会社です。大会社では70%以上、中会社では90%以上、小会社は、純資産額が卸売業で20億円以上、それ以外の業種では15億円以上あり、かつ、土地保有割合が70%を超えるときに土地保有特定会社と判定されます。小会社(従業員数が少ない)であっても、事業規模が大きい小会社は土地保有特定会社に該当することがあります。
    同族株主が取得した土地保有特定会社の株式は、純資産価額方式で評価します。なお、非同族株主が取得した場合には配当還元方式で評価します。
したがって適切な記述は[1]です。