FP1級過去問題 2015年1月学科試験 問3

問3

自営業者の公的年金等に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
  1. 国民年金の第1号被保険者として30年間、保険料を納付してきたAさん(50歳)が、障害基礎年金の支給を受けることなく死亡した。Aさんと生計を同じくしていた遺族が22歳の子のみの場合、所定の手続により、その子は死亡一時金の支給を受けることができる。
  2. 国民年金の第1号被保険者として38年間、保険料を納付してきたBさん(58歳)が、再婚して13年目に障害基礎年金の支給を受けることなく死亡した。この場合、Bさんと生計維持関係にあった妻(61歳)が寡婦年金の受給権を取得した場合、Bさんの妻に対する寡婦年金の支給は、原則として受給権発生月の翌月から65歳に達するまでである。
  3. 国民年金の第1号被保険者として40年間、保険料を納付してきたCさん(60歳)には、付加年金の保険料を納付した期間が20年ある。仮に、Cさんが老齢基礎年金の繰上げ支給の請求を行った場合でも、付加年金は65歳から減額されずに支給され、その額は200円に付加保険料納付済期間の月数を乗じて得た額である。
  4. 国民年金の第1号被保険者として20年間、保険料を納付してきたDさん(40歳)は、老後の生活資金の準備として地域型国民年金基金に1口(A型)加入した。この場合、Dさんは、国民年金の付加保険料を納付することはできないが、確定拠出年金の個人型年金に加入することはできる。

正解 3

問題難易度
肢18.8%
肢210.5%
肢368.2%
肢412.5%

解説

  1. 適切。死亡一時金は、保険料の掛け捨てを防止するための給付で、第1号被保険者としての保険料納付済期間が36月以上ある人が、老齢基礎年金または障害基礎年金を受け取らずに死亡し、生計を一にしていた遺族が遺族基礎年金を受給できない場合に、一定金額が支給される制度です(国年法52条の2)。
    Aさんは障害基礎年金を受け取っておらず、50歳で死亡したので老齢基礎年金も受け取っていません。そして、22歳の子は遺族基礎年金を受給できないので、その子は死亡一時金を受け取ることができます。
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    国民年金の第1号被保険者として8年間保険料を納付してきた子(28歳)が、障害基礎年金の支給を受けることなく死亡した場合、生計を同じくしていた母親(55歳)は、死亡一時金を受給することができる。2022.5-6-4
    国民年金の第1号被保険者として32年間、国民年金の定額保険料に加えて付加保険料を納付してきた父が、老齢基礎年金または障害基礎年金の支給を受けることなく死亡し、父と生計を同じくしていた遺族が22歳の子のみの場合、当該子に対して支給される死亡一時金の額は、37万円に1万円を加算した額となる。2014.9-4-1
  2. 適切。寡婦年金は、第1号被保険者としての保険料納付済期間と保険料免除期間の合計が10年以上ある人が、老齢基礎年金または障害基礎年金を受け取らずに死亡した場合に、その夫に生計を維持されていた婚姻関係(事実婚関係含む)10年以上の妻に対して、60歳から65歳到達月まで支給されます(国年法49条1項)。
    寡婦年金の受給権は、受給権者が65歳に達すると消滅するので、Bさんの妻に支給される寡婦年金はAさんの死亡の翌月から65歳に達するまでの支給となります(国年法49条3項、同51条)。
    国民年金の第1号被保険者期間に係る保険料納付済期間が10年以上ある夫(62歳)が、老齢基礎年金または障害基礎年金の支給を受けることなく死亡した場合、夫との婚姻期間が10年以上あり、生計を維持されていた妻(58歳)は、夫が死亡した日の属する月の翌月から5年間、寡婦年金を受給することができる。2022.5-6-3
    国民年金の第1号被保険者期間に係る保険料納付済期間と保険料免除期間とを合算した期間が24年6カ月の夫(55歳)が死亡した場合、夫との婚姻期間が19年6カ月あり、生計を維持されていた妻(61歳)は、寡婦年金を受給することができる。2021.9-5-2
    国民年金の第1号被保険者期間に係る保険料納付済期間が25年以上である夫が死亡し、寡婦年金の受給権を取得した妻(60歳)が、繰上げ請求により老齢基礎年金の受給権を取得した場合、寡婦年金の年金額の全部または一部が支給停止となる。2017.1-4-2
    国民年金の第1号被保険者期間に係る保険料納付済期間と保険料免除期間とを合算した期間が25年以上ある夫が、老齢基礎年金または障害基礎年金の支給を受けることなく死亡した場合、夫によって生計を維持し、かつ、夫との婚姻期間が8年間継続していた63歳の妻は、寡婦年金を請求することができる。2014.9-4-3
  3. [不適切]。老齢基礎年金の繰上げ支給を請求すると、自動的に付加年金も繰上げとなります。付加年金の年金額は、繰上げ・繰下げの増減額率に連動して増減額するため、「200円×付加保険料納付済期間月数×増減額率」の式で得た額となります。
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  4. 適切。国民年金基金と付加年金は同時加入できませんが、国民年金基金と確定拠出年金の個人型年金(iDeCo)には同時に加入できます。
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したがって不適切な記述は[3]です。