FP1級過去問題 2015年1月学科試験 問4(改題)

問4

厚生年金保険の在職老齢年金に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
  1. 厚生年金保険の被保険者(62歳)に支給される特別支給の老齢厚生年金の年金額は、受給権者である被保険者の総報酬月額相当額と基本月額との合計額が50万円を超えた場合、その一部または全部が支給停止となる。
  2. 老齢厚生年金の額に加給年金額が加算されている場合、在職老齢年金の仕組みにより、支給停止基準額が老齢厚生年金の額(加給年金額を除く)以上であるときは、加給年金額を含めた老齢厚生年金の全額が支給停止される。
  3. 厚生年金保険の被保険者(67歳)に支給される老齢厚生年金の年金額は、受給権者である被保険者の総報酬月額相当額と基本月額との合計額が50万円を超えた場合、その一部または全部が支給停止となる。
  4. 老齢厚生年金の受給権者が70歳以後も厚生年金適用事業所に勤務している場合、在職老齢年金の仕組みは適用されず、老齢厚生年金は全額支給される。

正解 4

問題難易度
肢13.6%
肢224.1%
肢37.2%
肢465.1%

解説

厚生年金の被保険者として勤務しながら老齢厚生年金を受給している場合、老齢厚生年金の基本月額と総報酬月額相当額の合計額が50万円を超えると、在職老齢年金の仕組みにより年金の一部または全部が支給停止されます(厚年法46条)。
基本月額
老齢厚生年金のうち報酬比例部分の額(繰下げによる増加分は除く)を月換算した額
総報酬月額相当額
その月の標準報酬月額と、その月以前1年間の標準賞与額の合計を月換算した額の合計額
  1. 適切。老齢厚生年金の基本月額と総報酬月額相当額の合計額が支給停止調整開始額である50万円を上回った場合に、老齢厚生年金の一部または全部が支給停止されます。2022年4月より、65歳未満の人の支給停止調整開始額が65歳以上の人と同じ水準に引き上げられています。
    65歳未満の厚生年金保険の被保険者が支給を受ける特別支給の老齢厚生年金は、その者の総報酬月額相当額と基本月額との合計額が50万円以下である場合、在職支給停止の仕組みによる調整はなく、全額が支給される。2021.1-3-1
    65歳未満の老齢厚生年金の受給権者が厚生年金保険の適用事業所に勤務している場合、総報酬月額相当額と基本月額の合計額が58万円以下のときは、在職支給停止の仕組みによる調整は行われない。2015.10-6-3
    厚生年金保険の被保険者(67歳)に支給される老齢厚生年金の年金額は、受給権者である被保険者の総報酬月額相当額と基本月額との合計額が50万円を超えた場合、その一部または全部が支給停止となる。2015.1-4-3
  2. 適切。支給停止基準額とは、在職老齢年金の仕組みにより支給停止される年金額であり、総報酬月額相当額と基本月額との合計額から支給停止調整開始額(50万円)を控除した金額の2分の1相当額です。支給停止基準額が老齢厚生年金の額以上であるときは、老齢厚生年金(経過的加算額を除く)の全額について支給が停止されます。
    1/503.png/image-size:408×184
  3. 適切。老齢厚生年金の基本月額と総報酬月額相当額の合計額が支給停止調整開始額である50万円を上回った場合に、老齢厚生年金の一部または全部が支給停止されます。
    65歳未満の厚生年金保険の被保険者が支給を受ける特別支給の老齢厚生年金は、その者の総報酬月額相当額と基本月額との合計額が50万円以下である場合、在職支給停止の仕組みによる調整はなく、全額が支給される。2021.1-3-1
    65歳未満の老齢厚生年金の受給権者が厚生年金保険の適用事業所に勤務している場合、総報酬月額相当額と基本月額の合計額が58万円以下のときは、在職支給停止の仕組みによる調整は行われない。2015.10-6-3
    厚生年金保険の被保険者(62歳)に支給される特別支給の老齢厚生年金の年金額は、受給権者である被保険者の総報酬月額相当額と基本月額との合計額が50万円を超えた場合、その一部または全部が支給停止となる。2015.1-4-1
  4. [不適切]。70歳を超えると厚生年金保険の被保険者ではなくなりますが、在職老齢年金の適用年齢に上限はないので、老齢厚生年金の基本月額と総報酬月額相当額の合計額が50万円を上回った場合には、老齢厚生年金の一部または全部が支給停止となります。
したがって不適切な記述は[4]です。