FP1級過去問題 2015年1月学科試験 問12

問12

株式会社X社(以下、「X社」という)は、以下の養老保険への加入を検討している。当該養老保険に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
保険の種類
5年ごと利差配当付養老保険(特約付加なし)
契約者(=保険料負担者)
X社
被保険者
すべての役員・従業員
満期保険金受取人
X社
死亡保険金受取人
被保険者の遺族
保険期間・保険料払込期間
60歳満了
死亡保険金額(1人当たり)
500万円
年払保険料(合計)
720万円
  1. X社が支払う年払保険料の額のうち、その2分の1に相当する金額は資産に計上し、残りの金額は福利厚生費として損金の額に算入する。
  2. 保険期間中に被保険者が死亡した場合、X社は、それまで資産に計上していた当該契約に係る保険料積立金および配当金積立金を取り崩し、雑損失として損金の額に算入する。
  3. 満期保険金が支払われた場合、当該契約に係る保険料積立金および配当金積立金を取り崩し、満期保険金等との差額を雑収入として益金の額に算入する。
  4. 被保険者をすべての役員・従業員ではなく、特定の役員・従業員とした場合は、保険料の全額を給与として損金の額に算入する。

正解 4

問題難易度
肢19.5%
肢220.8%
肢314.9%
肢454.8%

解説

  1. 適切。法人契約の養老保険は支払保険料の全額を資産計上するのが原則ですが、①被保険者をすべての役員・従業員、②死亡保険金受取人をその従業員等の遺族、③満期保険金受取人を法人とする養老保険は、ハーフタックスプランとなり、支払保険料の額の2分の1に相当する金額を保険料積立金として資産に計上し、残り2分の1は福利厚生費として損金の額に算入します。
  2. 適切。被保険者が死亡すると死亡保険金がその従業員等の遺族に支払われるため、法人には入金がありません。この場合、保険料積立金として資産計上していた額のうち、その従業員に対応する額を取り崩し、その額を雑損失として経理処理します。
    保険期間中に被保険者である従業員が死亡し、死亡保険金が被保険者の遺族に支払われた場合、X社では、それまで資産に計上していた当該契約に係る保険料積立金および配当金積立金を取り崩し、死亡保険金との差額を雑収入として益金の額に算入する。2022.9-12-4
    満期保険金が支払われた場合、当該契約に係る保険料積立金および配当金積立金を取り崩し、満期保険金等との差額を雑収入として益金の額に算入する。2015.1-12-3
  3. 適切。満期保険金受取時には、資産計上された保険料積立金相当額を取り崩し、満期保険金等(契約者配当金含む)との差額は雑収入または雑損失として計上します。
    保険期間中に被保険者である従業員が死亡し、死亡保険金が被保険者の遺族に支払われた場合、X社では、それまで資産に計上していた当該契約に係る保険料積立金および配当金積立金を取り崩し、死亡保険金との差額を雑収入として益金の額に算入する。2022.9-12-4
    保険期間中に被保険者が死亡した場合、X社は、それまで資産に計上していた当該契約に係る保険料積立金および配当金積立金を取り崩し、雑損失として損金の額に算入する。2015.1-12-2
  4. [不適切]。被保険者と特定の役員・従業員とした場合は、福利厚生費として処理していた部分が給与に変わります。つまり、2分の1は保険料積立金として資産計上、残り2分の1は給与として損金算入となります。特定の役員・従業員側は給与所得として課税されることとなります。
    なお、養老保険の保険料の全額を給与として損金の額に算入するのは、死亡保険金と満期保険金の受取人がともに従業員側であるときです。
したがって不適切な記述は[4]です。