FP1級過去問題 2015年1月学科試験 問36

問36

借地借家法の定期借地権に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
  1. 建物譲渡特約付借地権の設定契約は、公正証書により締結しなければならない。
  2. 建物譲渡特約付借地権は、借地権設定後30年以上が経過し、かつ、その建物を地主が譲り受けることにより借地権は消滅するが、建物を使用している借地人が建物の使用継続を請求すれば、借家人としての利用が可能である。
  3. 一般定期借地権においては、特に制限がないため、事業用建物の建築を目的とすることができる。
  4. 事業用定期借地権等においては、居住の用に供する賃貸マンションの事業運営を目的とする設定契約を締結することができない。

正解 1

問題難易度
肢169.4%
肢25.8%
肢317.9%
肢46.9%

解説

  1. [不適切]。建物譲渡特約付借地権の契約方法には特に制限がありません。書面でも口頭でも認められます。
    建物譲渡特約付借地権の設定契約は、その設定後30年以上を経過した日に借地上の建物を借地権設定者に相当の対価で譲渡する旨を特約として定め、公正証書により締結しなければならない。2019.5-35-4
  2. 適切。建物譲渡特約付借地権は、契約で決められた時期に借地上の建物の買取りが行われることにより消滅します。建物の所有権は土地の所有者に移転しますが、借地権者だった人がその後も継続して当該建物を使用したいときには、土地所有者に請求すれば期間の定めのない普通建物賃貸借がされたとみなされます。土地所有者の承諾は必要ありません。このとき、当事者間の合意により定期建物賃貸借を締結することも可能です(借地借家法24条3項)。
    建物譲渡特約付借地権は、借地権設定後30年以上が経過し、その建物を借地権設定者が譲り受けることにより借地権は消滅するが、建物を使用している借地権者が当該借地権消滅後の建物の使用継続を請求したときは、建物の賃借人として当該建物を使用継続することができる。2023.1-35-2
  3. 適切。一般定期借地権は利用目的の制限がありません。よって、事業用建物の建築を目的として設定することも可能です。
  4. 適切。賃貸事業を目的としていても、その建物が賃貸マンションや従業員の社宅などのように、居住用の場合には事業用定期借地権等を設定することはできません
    居住の用に供する賃貸マンションの事業運営を目的とし、かつ、存続期間を20年として定期借地権を設定することはできない。2019.9-37-3
    居住の用に供する賃貸マンションの事業運営を目的とし、かつ、存続期間を20年として定期借地権を設定することはできない。2017.1-35-3
したがって不適切な記述は[1]です。
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