FP1級過去問題 2015年10月学科試験 問25

問25

個人が受け取った次の収入のうち、所得の分類上、一時所得に該当するものはいくつあるか。
  1. 個人年金保険(保証期間付終身年金)の年金受取人が、年金支払開始日後に保証期間分の年金額を一括して受け取った一時金
  2. 不動産売買契約の締結後、売主の都合で契約が破棄され、買主が返還された手付金とともに受け取った同額の違約金
  3. 家主の都合で、やむなく賃借期間の中途で居宅を明け渡すことになり、借家人が受領した立退き料(借家人の収入金額等を補てんするための金額等を除く)
  1. 1つ
  2. 2つ
  3. 3つ
  4. 0(なし)

正解 2

問題難易度
肢127.8%
肢241.4%
肢310.4%
肢420.4%

解説

  1. 不適切。雑所得となります。個人年金保険の年金給付を支払開始後に一時金として受け取る場合、雑所得として課税されるのが原則です。ただし、将来の年金給付の総額に代えて支払われるものを一時金で受け取る場合には一時所得とすることができます。本肢では、終身年金の保証期間分を一時金として受け取っていますが、これは将来の受取総額ではないので一時所得とすることはできず、原則どおり雑所得となります(所基通35-3)。
  2. 適切。売主からの手付解除では、手付の倍額を買主に提供する必要があります。この際、買主が余分に受け取った(交付した手付を超える)部分の額は、業務上受け取る場合を除き、一時所得として課税されます(所基通34-1(8))。
  3. 適切。立退料は、いくつかの要素を考慮して算出されますが、それぞれの性格により3つの所得に区分されます(所基通33-6・所基通34-1(7))。
    • 契約、行政処分、事業に基づき、資産が消滅する対価を補償するもの ⇒ 譲渡所得
    • 移転補償金などのように、事業上の収入金額や必要経費など補填するもの ⇒ 事業所得
    • その他のもの ⇒ 一時所得
    本肢の立退料は、家主の都合による中途解約なので譲渡所得ではないこと、括弧書きより事業所得ではないことがわかるため、一時所得に分類されます。
したがって一時所得に該当するものは「2つ」です。