FP1級過去問題 2015年10月学科試験 問28(改題)

問28

居住者が2023年4月に新築の認定長期優良住宅を取得し、同月中に入居した場合における住宅借入金等特別控除および認定住宅新築等特別税額控除に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。なお、住宅の取得に際して10%の税率による消費税額等を負担しているものとする。また、各選択肢において、ほかに必要とされる要件等はすべて満たしているものとする。
  1. 住宅ローンを利用して認定長期優良住宅を取得した場合、住宅借入金等特別控除の控除限度額は、2032年までの各年において、その住宅ローンの年末残高(限度額あり)の0.7%相当額である。
  2. 住宅ローンを利用して認定長期優良住宅を取得した場合、合計所得金額が3,000万円を超える年分については、住宅借入金等特別控除の適用を受けることができない。
  3. 自己資金で認定長期優良住宅を取得した場合、認定住宅新築等特別税額控除として2023年分の所得税の額から最大で65万円を控除することができ、控除しきれない金額がある場合は、その金額を2024年分の所得税の額から控除することができる。
  4. 自己資金と住宅ローンを利用して認定長期優良住宅を取得した場合、2023年分の所得税について住宅借入金等特別控除と認定住宅新築等特別税額控除の適用を重複して受けることができる。

正解 3

解説

  1. 不適切。2032年までではありません。居住の用に供した年が2023年中であれば、新築住宅に係る住宅借入金等特別控除の控除期間は13年間です。
    取得した住宅が認定長期優良住宅に該当する場合、住宅借入金等特別控除による各年の控除額は住宅借入金等の年末残高等に0.7%を乗じた金額であり、最大35万円となる。2022.9-30-2
    1年目から10年目までの住宅借入金等特別控除による各控除額は、住宅借入金等の年末残高等に1%を乗じた金額であり、30万円が限度となる。2020.9-29-2
    給与所得者が、銀行の住宅ローンを利用して認定長期優良住宅を取得し、住宅借入金等特別控除の適用を受けた場合、2023年分の所得税額から控除することができる金額は、2023年12月31日における住宅ローン残高の1.0%相当額で、40万円が限度となる。2017.9-30-2
    取得した住宅が認定長期優良住宅に該当する場合、住宅借入金等特別控除の控除期間は最長で13年間であり、2023年分の所得税額から控除することができる金額は最大で35万円である。2015.9-28-2
  2. 不適切。3,000万円ではありません。住宅借入金等特別控除の適用を受けるには、適用を受ける年分の合計所得金額が2,000万円以下である必要があります。
    住宅(床面積100㎡)を取得した場合において、控除を受ける年分の合計所得金額が2,000万円以下でなければ、住宅借入金等特別控除の適用を受けることができない。2024.1-29-1
    取得した住宅が店舗併用住宅である場合、床面積の2分の1以上に相当する部分がもっぱら居住の用に供され、かつ、当該居住の用に供される部分の床面積が40㎡(合計所得金額1,000万円超の受贈者は50㎡)以上でなければ、住宅借入金等特別控除の適用を受けることができない。2015.9-28-1
  3. [適切]。認定住宅新築等特別税額控除は、認定長期優良住宅または認定低炭素住宅を新築または新築物件を取得した場合に、認定住宅の認定基準に適合するために必要となる"標準的なかかり増し費用"の10%に相当する金額を、その年分の所得税額から控除するものです。
    2014年4月1日以降、"標準的なかかり増し費用"の限度額は650万円なので、控除限度額はその10%に当たる65万円です。居住年の所得税の額から控除してもなお控除しきれない金額がある場合には、翌年の所得税額から控除しきれなかった分を控除することができます。
    給与所得者が、自己資金で認定長期優良住宅を取得し、認定住宅新築等特別税額控除の適用を受けた場合、2023年分の所得税額から最大で65万円を控除することができ、控除しきれない金額があるときは、その金額を2024年分の所得税額から控除することができる。2017.9-30-3
    自己資金で認定長期優良住宅を取得した場合、認定長期優良住宅新築等特別税額控除の控除額は、実際に要した費用の10%(最高50万円)である。2014.9-29-3
    自己資金で認定長期優良住宅を取得し、認定長期優良住宅新築等特別税額控除の適用を受けた場合において、2023年分の所得税額から控除してもなお控除しきれなかった金額があるときは、その金額を翌年に繰り越して控除することができる。2014.9-29-4
  4. 不適切。住宅借入金等特別控除と認定住宅新築等特別税額控除は重複して適用を受けることはできません。
    給与所得者が、自己資金と銀行の住宅ローンを利用して認定長期優良住宅を取得した場合、2023年分の所得税について住宅借入金等特別控除と認定住宅新築等特別税額控除の適用を重複して受けることができる。2017.9-30-4
    住宅ローンを利用して認定長期優良住宅を取得した場合、最長15年間にわたり、その住宅借入金残高に応じて、認定長期優良住宅の新築等に係る住宅借入金等特別控除の適用を受けることができる。2014.9-29-1
したがって適切な記述は[3]です。