FP1級過去問題 2015年10月学科試験 問39

問39

Aさんが、2023年4月に自己の居住用財産を2,000万円で譲渡するとともに新たに住宅借入金を利用して自己の居住用財産を3,000万円で取得し、2023年分の所得税の確定申告により「居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除」の適用を受けた場合、2024年以降に繰り越すことができる譲渡損失の金額として、次のうち最も適切なものはどれか。なお、記載のない事項については考慮しないこと。

〈譲渡資産の内容等〉
譲渡価額
2,000万円
取得費と譲渡費用の合計額
5,000万円
譲渡契約日の前日の譲渡資産に係る住宅借入金残高
3,000万円
譲渡資産の土地等の面積
300㎡
Aさんの2023年分の給与所得の金額
780万円(その他の所得はない)
〈買換資産の内容等〉
取得価額
3,000万円
2023年末の住宅借入金残高
2,000万円
  1. 220万円
  2. 1,000万円
  3. 2,220万円
  4. 3,000万円

正解 3

解説

居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除は、マイホームを買い換えた際に旧宅の譲渡によって譲渡損失が生じた場合に、通常は分離課税であるその損失を他の所得から控除(損益通算)でき、その年に控除しきれなかった額は翌年以後3年以内の各年の総所得金額等から控除できる特例措置です。主な適用要件は次のとおりです。
  1. 譲渡した年、または家屋を取り壊した年の1月1日時点で所有期間が5年超であること
  2. 住んでいる家を売るか、住まなくなった日から3年後の12月31日までに売ること
  3. 新宅の居住用に供する床面積が50㎡以上であること
  4. 新宅を取得した年の12月31日までに居住開始(見込み含む)しており、その年の12月31日において新宅について償還期間10年以上の住宅ローンを有すること
  5. (繰越控除だけの要件)
    適用は敷地面積500㎡以下の部分に限る
    適用を受ける年の合計所得金額が3,000万円以下
譲渡資産(旧宅)の譲渡に伴う譲渡損失は、

 2,000万円-5,000万円=▲3,000万円

譲渡損失のうち780万円は2023年分の給与所得から控除できるので、控除しきれなかった額は2,220万円です。これが翌年以降に繰り越せる損失額となります。

したがって[3]が適切です。