FP1級過去問題 2015年10月学科試験 問48

問48

次の各ケースのうち、相続人が相続税の申告を必要とするものはどれか。なお、各ケースにおいて、被相続人は2024年中に死亡したものとし、相続人は相続または遺贈により財産を取得したものとする。また、記載のある事項以外は考慮しないものとする。
  1. 相続人が被相続人の配偶者のみであり、相続開始時点の被相続人の財産は3,000万円(相続税評価額)であるが、相続人が契約者(=保険料負担者)および被保険者を被相続人とする生命保険契約による死亡保険金1,000万円を受け取った場合
  2. 相続人が被相続人の配偶者と子の合計2人であり、相続開始時点の被相続人の財産は3,000万円(相続税評価額)であるが、2021年中に相続人が被相続人から現金1,000万円の贈与を受け、相続時精算課税の適用を受けていた場合
  3. 相続人が被相続人の配偶者と兄の合計2人であり、相続開始時点の被相続人の財産は4,000万円(相続税評価額)であるが、被相続人の兄が相続の放棄をし、相続人が配偶者1人になった場合
  4. 相続人が被相続人の配偶者と子2人の合計3人であり、相続開始時点の被相続人の財産は5,000万円(相続税評価額)であるが、「小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例」の適用後の相続税の課税価格の合計額が4,200万円になる場合

正解 4

問題難易度
肢110.0%
肢211.8%
肢39.6%
肢468.6%

解説

相続税の申告を要する場合と要しない場合は次のとおりです。
申告を要する場合
小規模宅地等の非課税の特例、配偶者の相続税額の軽減の適用を受ける場合
申告を要しない場合
相続税の課税価格の合計額が基礎控除額以下である場合(死亡保険金・死亡退職金の非課税の適用後)
  1. 不適切。死亡保険金の非課税の規定(相続人は1人)を受けると、死亡保険金のうち課税価格に算入すべき額は「1,000万円-500万円=500万円」です。相続財産と合わせた課税価格は「3,000万円+500万円=3,500万円」であり、遺産に係る基礎控除額「3,000万円+600万円×1人=3,600万円」以下となるため申告は不要です。
  2. 不適切。相続時精算課税で非課税となった財産は、贈与時の価額から基礎控除額を控除した残額を相続税の課税価格に加算します。相続税の課税価格の合計額は「3,000万円+1,000万円=4,000万円」であり、遺産に係る基礎控除額「3,000万円+600万円×2人=4,200万円」以下となるため申告は不要です。
    ※相続時精算課税の基礎控除が適用されるのは2024年分以降の贈与に限ります。
  3. 不適切。遺産に係る基礎控除額の計算に使用される法定相続人の数は、相続放棄をした者も1人として数えます。相続税の課税価格4,000万円に対して、遺産に係る基礎控除額は「3,000万円+600万円×2人=4,200万円」となるため申告は不要です。
  4. [適切]。小規模宅地等の非課税の特例を受けることにより、相続税の課税価格が基礎控除額以下となる場合には相続税の申告が必要です。
したがって適切な記述は[4]です。