FP1級過去問題 2015年9月学科試験 問32(改題)

問32

青色申告法人の欠損金の繰越控除等に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。なお、各選択肢において、ほかに必要とされる要件等はすべて満たしているものとする。
  1. 資本金が1億円を超える一定の法人が2023年4月1日に開始する事業年度において欠損金額を損金の額に算入する場合、損金の額に算入することができる欠損金額は、繰越控除前の所得の金額の50%相当額が限度となる。
  2. 損金の額に算入することができる欠損金額は、各事業年度開始の日前7年以内に開始した事業年度において生じた欠損金額に限られる。
  3. 欠損金の繰越控除の適用を受けるためには、欠損金額の生じた事業年度において青色申告書である確定申告書を提出し、かつ、その後の各事業年度について連続して青色申告書である確定申告書を提出していなければならない。
  4. 資本金が1億円以下の一定の法人は、設立後5年以内において生じた欠損金額がある場合に限り、その欠損金額について、その欠損金額が生じた事業年度開始の日前1年以内に開始した事業年度の所得に繰り戻し、その事業年度の所得に対する法人税額の全部または一部を還付請求することができる。

正解 1

問題難易度
肢161.0%
肢26.5%
肢315.3%
肢417.2%

解説

青色申告法人の欠損金の繰越控除に関する出題ポイントは下表の通りです。
32.png./image-size:535×395
  1. [適切]。中小法人等以外の法人については、繰越控除できる欠損金額は繰越控除前の所得金額の50%までとなっています。仮に、所得金額が1,000万円であれば500万円までの損金算入が認められるということです。
    2024年4月1日に開始する事業年度において、資本金の額が1億円以下の法人が繰り越された欠損金額を損金の額に算入する場合、損金の額に算入することができる欠損金額は、繰越控除前の所得の金額の50%相当額が限度となる。2023.5-32-3
    資本金の額が1億円以下である普通法人が、2023年4月1日に開始する事業年度において欠損金額を損金の額に算入する場合、損金の額に算入することができる欠損金額は、当該事業年度の所得の金額の50%相当額が限度となる。2022.1-31-4
    資本金の額が1億円以下である普通法人が2024年4月1日に開始する事業年度において欠損金額を損金の額に算入する場合、損金の額に算入することができる欠損金額は、繰越控除前の所得の金額が限度となる。2020.1-32-4
    資本金が1億円以下の法人が2023年4月1日に開始する事業年度において欠損金額を損金の額に算入する場合、損金の額に算入することができる欠損金額は、繰越控除前の所得の金額の80%相当額が限度となる。2018.1-32-3
    資本金が1億円以下の一定の法人が2023年4月1日に開始する事業年度において欠損金額を損金の額に算入する場合、損金の額に算入することができる欠損金額は、繰越控除前の所得の金額の80%相当額が限度となる。2015.10-31-3
  2. 不適切。2018年4月1日以降に開始した事業年度において生じた欠損金額については10年、それ以前の事業年度のものについては9年の繰越しができます。本肢は7年としているので誤りです。
    相当昔のことですが、H14年3月~H23年3月までに開始する事業年度では7年でした。
  3. 不適切。欠損金額が生じた事業年度は青色申告である必要がありますが、その後は白色申告であっても当該欠損金額について繰越控除の適用を受けることができます。
    欠損金額が生じた事業年度において、法人が青色申告書である確定申告書を提出している場合、その後の各事業年度について白色申告書である確定申告書を提出しても、欠損金の繰越控除の適用を受けることができる。2023.5-32-1
    欠損金の繰越控除の適用を受けるためには、欠損金の生じた事業年度において青色申告書である確定申告書を提出し、かつ、その後において、連続して確定申告書を提出する必要がある。2022.1-31-1
    欠損金額が生じた事業年度において青色申告書である確定申告書を提出していれば、その後の各事業年度について提出した確定申告書が白色申告書であっても、欠損金の繰越控除の適用を受けることができる。2020.1-32-1
    欠損金の繰越控除の適用を受けるためには、欠損金額の生じた事業年度において青色申告書である確定申告書を提出し、かつ、その後の各事業年度について連続して青色申告書である確定申告書を提出していなければならない。2015.10-31-1
    欠損金の繰越控除の適用を受けるためには、欠損金の生じた事業年度において青色申告書である確定申告書を提出し、その翌事業年度以後連続して確定申告書を提出する必要がある。2014.9-33-1
  4. 不適切。資本金が1億円以下である等の要件を満たす青色中小法人等は、青色申告書である確定申告書を提出する事業年度に欠損金額が生じた場合、その欠損金額をその事業年度開始の日前1年以内に開始したいずれかの事業年度に繰り戻して法人税額の還付を受けることができます(欠損金の繰戻し)。設立後5年以内という要件はかつてありましたが現在は撤廃されています。
    資本金が1億円以下の一定の法人は、青色申告書である確定申告書を提出した事業年度において生じた欠損金額について、原則としてその事業年度開始の日前1年以内に開始した事業年度の所得に繰り戻し、その事業年度の所得に対する法人税額の全部または一部を還付請求することができる。2015.10-31-4
    青色申告書である確定申告書を提出する資本金が1億円以下の一定の中小法人等は、各事業年度において生じた欠損金について、原則としてその事業年度開始の日前1年以内に開始した事業年度の所得に繰り戻し、その事業年度の所得に対する法人税額の全部または一部を還付請求することができる。2014.9-33-3
したがって適切な記述は[1]です。