FP1級過去問題 2015年9月学科試験 問49

問49

「農地等についての相続税の納税猶予の特例」(以下、「本特例」という)に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
  1. 農業を営んでいた被相続人から農地等を相続または遺贈により取得し、農業経営を行う相続人は、本特例の適用を受けることにより、その取得した農地等の価額に対応する相続税額の全額の納税が猶予される。
  2. 本特例の適用を受けるためには、相続税の申告書に都道府県知事が発行する「相続税の納税猶予に関する適格者証明書」を添付しなければならない。
  3. 本特例による納税猶予期間中は、相続税の申告期限の翌日から起算して3年を経過するごとの日までに、引き続いて本特例の適用を受ける旨および特例農地等に係る農業経営に関する事項等を記載した届出書を納税地の所轄税務署長に提出しなければならない。
  4. 本特例の適用を受けた相続人が相続税の申告期限の翌日から農業を10年間継続した場合には、猶予された相続税額が免除される。

正解 3

問題難易度
肢127.4%
肢219.2%
肢335.1%
肢418.3%

解説

  1. 不適切。農業を営んでいた被相続人から一定の相続人が相続や遺贈によって農地等を取得し農業経営を行う場合、その取得した農地等の価額のうち、相続税の納税猶予を受けるときに用いられる農業投資価格による価額を超える部分に対応する相続税額について納税が猶予されます。
  2. 不適切。本特例の適用を受けるためには、相続税の申告書に「相続税の納税猶予に関する適格者証明書」や「担保関係書類」を添付する必要がありますが、これらの書面は農業委員会が発行しています。
  3. [適切]。納税猶予期間中は、相続税の申告期限から3年を経過するごとに、引き続いて特例の適用を受ける旨および特例農地等に係る農業経営に関する事項等を記載した「継続届出書」を納税地の所轄税務署長に提出する必要があります。
  4. 不適切。特例の適用を受けたあとで猶予された相続税額が免除されるのは、相続人が死亡した場合、農業の後継者に生前一括贈与をした場合です。ただし、三大都市圏の特定市以外の区域内に所在する農地等については、相続税の申告期限の翌日から農業を20年間継続すると、猶予された相続税額が免除されます。
したがって適切な記述は[3]です。