FP1級過去問題 2016年1月学科試験 問28(改題)

問28

居住者に係る所得税の医療費控除に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
  1. 支払った医療費のうち、事業専従者に該当する配偶者または合計所得金額が48万円超の配偶者に係る医療費は、医療費控除の対象とならない。
  2. 支払った医療費のうち、医療費を支出すべき事由が生じた時の現況において生計を一にしていても、現実に医療費を支払った時の現況において生計を一にしていない親族に係る医療費は、医療費控除の対象とならない。
  3. 夫が生計を一にする妻の出産に係る医療費を支払い、妻が健康保険から出産育児一時金を受け取った場合、夫の医療費控除の計算上、妻が受け取った出産育児一時金の額を差し引く必要がある。
  4. 自己が入院したことによる医療費を支払い、入院中の労務に服することができない期間について健康保険から傷病手当金を受け取った場合、医療費控除の計算上、受け取った傷病手当金の額を差し引く必要がある。

正解 3

問題難易度
肢16.7%
肢218.4%
肢358.1%
肢416.8%

解説

  1. 不適切。本人または生計を一にする親族のために支払った医療費であれば、その医療費を要した親族の合計所得金額の多寡にかかわらず、また専従者給与を受けているかどうかに関係なく医療費控除の対象となります。
  2. 不適切。医療費控除の対象となる「自己と生計を一にする配偶者その他の親族に係る医療費」とは、医療費を支出すべき事由が生じた時または現実に医療費を支払った時の現況において居住者と生計を一にする親族に係る医療費を言います。よって、現実に医療費を支払った時に生計を一にしていなくても、療養を受けたときの現況で生計を一にしていれば、医療費控除の対象となります。例えば、離婚する前が配偶者が治療を受けて離婚後に医療費を支払ったケース、親族の死亡前の医療費を死亡後に支払ったケースなどがこれに該当します。
  3. [適切]。健康保険等から出産育児一時金等を受け取った場合、その金額は医療費控除の額を計算する際に医療費から差し引かなければなりません。
  4. 不適切。健康保険等から支給される傷病手当金や出産手当金は、医療費控除の額を計算する際に医療費から差し引く必要がありません。
したがって適切な記述は[3]です。