FP1級過去問題 2016年1月学科試験 問47(改題)

問47

相続税の税額控除等に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
  1. 被相続人の配偶者は、配偶者に対する相続税額の軽減の適用を受けることにより、相続または遺贈により取得した財産の額が1億6,000万円と配偶者の法定相続分相当額とのいずれか少ない金額を超えない場合に限り、納付すべき相続税額は算出されない。
  2. 被相続人から生前に贈与を受けた財産について相続時精算課税の適用を受けていた相続人は、その相続税額から相続時精算課税の適用を受けた財産に係る贈与税相当額を控除することができ、相続税額から控除しきれない場合は税額の還付を受けることができる。
  3. 相続または遺贈により財産を取得した者が、被相続人の法定相続人であり、かつ、18歳未満であったとしても、婚姻している場合には成年者とみなされるため、未成年者控除の適用を受けることはできない。
  4. 被相続人がその相続開始前15年以内に相続税を納付していた場合、当該被相続人から相続または遺贈により財産を取得した者の相続税額から当該被相続人が納付した相続税額の一定割合を控除することができる。

正解 2

問題難易度
肢114.8%
肢263.3%
肢316.0%
肢45.9%

解説

  1. 不適切。少ない金額ではありません。配偶者に対する相続税額の軽減の適用を受けると、配偶者は法定相続分または1億6,000万円のいずれか多い額までの相続財産に対する相続税は算出されません(相続税法19条の2)。
  2. [適切]。相続時精算課税制度では、相続税の課税価格に相続時精算課税の適用を受けた財産を加えてから相続税額を算出します。各人の納付税額が算出された後、相続時精算課税で納めた贈与税額を控除できますが、納付税額から控除しきれない場合には、税額の還付を受けることができます(相続税法33条の2)。
  3. 不適切。未成年者が民法上の相続人であるときは、未成年者控除により「(18-年齢)×10万円」をその人の相続税額からを差し引くことができます。控除額の全額が引き切れない場合は、その引き切れない部分の金額をその未成年者の扶養義務者の相続税額から差し引くことができます。民法では、婚姻した未成年は成年と同じ行為能力があるとみなされますが、未成年者控除が適用されるかどうかは単に年齢によって判定されるため、婚姻している未成年であっても適用を受けられます(相続税法19条の3)。
    成年年齢の引き下げにより婚姻による成年擬制の規定は削除されていますが、2022年4月1日時点で婚姻している未成年者には継続して適用されます。
  4. 不適切。15年ではありません。被相続人が、相続開始前10年以内に相続により財産を取得し、相続税の納付をしていた場合には、先の相続で支払った相続税額のうち一定額が、今回の相続人が支払う相続税額から控除されます。これを「相次相続控除」といい、時期が近い相続において、同一の財産に相続税が複数回課されることを避ける目的があります(相続税法20条)。
したがって適切な記述は[2]です。