FP1級過去問題 2016年1月学科試験 問46

問46

相続税の課税財産に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
  1. Aさんが2023年3月25日に死亡し、Aさんが2023年3月10日に購入し、相続開始時において所有権の移転登記がされていなかった不動産をAさんの妻が相続により取得した。この場合、Aさんの妻が取得した当該不動産は、相続税の課税対象となる財産に含まれる。
  2. 老齢基礎年金の受給権者であるBさんが2023年6月10日に死亡し、Bさんに支給すべき年金給付でまだ支給されていない年金をBさんの妻が受け取った。この場合、Bさんの妻が受け取った当該未支給年金は、相続税の課税対象となる財産に含まれる。
  3. 会社員であるCさんが2023年8月22日に死亡し、Cさんの勤務先からCさんに8月25日および9月25日に支給すべき給与がCさんの妻に支給された。この場合、Cさんの妻が受け取った当該給与は、相続税の課税対象となる財産に含まれる。
  4. Dさんが2023年10月20日に死亡し、Dさんの妻が2023年12月15日に準確定申告書を提出して、Dさんが納付した予定納税額のうち一部の還付を受けた。この場合、Dさんの妻が受け取った当該還付金は、相続税の課税対象となる財産に含まれる。

正解 2

問題難易度
肢17.5%
肢248.3%
肢314.3%
肢429.9%

解説

  1. 適切。売買契約の締結により不動産の所有権はAさんに移っていますから、当該不動産はAさんの相続財産に含まれます。この場合、相続人は不動産の売主に対して被相続人への所有権移転登記を請求した後、相続登記をすることになります。
    Aさんが購入した不動産について、所有権の移転登記が行われる前にAさんの相続が開始し、当該不動産をAさんの配偶者が相続により取得した場合、当該不動産は、相続税の課税対象とならない。2023.1-45-1
  2. [不適切]。国民年金法では、年金の受給権者が死亡した場合に、その死亡した者に支給すべき年金でまだその者に支給されていないものがあるときは、その者と同一生計であった配偶者、子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹その他の親族が、自己の名でその未支給年金を請求することができると定めています。つまり、未支給年金請求権は相続財産として法定相続人に承継される権利ではなく、一定範囲の遺族の生活保障のために認められる権利という性質を持ちます。したがって、被相続人の未支給年金請求権は相続の対象とはならず、相続税の課税財産にも含まれません。遺族が受け取った未支給年金は遺族の一時所得として所得税の課税対象となります。
  3. 適切。被相続人が受けるべきであったものであり、相続開始の時において支給期の到来していない給与は、本来の相続財産に含まれます。
  4. 適切。所得税の準確定申告に係る還付金は、本来の相続財産に含まれます。被相続人が有していた還付金請求権は本来の相続財産であり、それが顕在化したものと捉えるからです。
したがって不適切な記述は[2]です。