FP1級過去問題 2016年9月学科試験 問5

問5

厚生年金保険の被保険者であるAさん(40歳)が死亡した場合の遺族厚生年金に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。なお、Aさんは遺族厚生年金の保険料納付要件を満たしているものとし、記載のない事項については考慮しないものとする。
  1. 残された遺族がAさんと同居して生計維持関係にあった妻(35歳)のみで、かつ、Aさんの死亡が業務上の理由によるものであり、妻に労働基準法の規定による遺族補償が支給される場合、死亡の日から6年間、妻に対する遺族厚生年金の支給が停止される。
  2. 残された遺族がAさんと同居して生計維持関係にあった妻(28歳)と長男(5歳)である場合、妻が取得する遺族厚生年金の受給権は、当該受給権を取得した日から起算して5年を経過したときに消滅する。
  3. 残された遺族がAさんと同居して生計維持関係にあった父(70歳)と母(67歳)である場合、父と母のいずれか一方が遺族厚生年金の受給権を取得することになる。
  4. 残された遺族がAさんと同居して生計維持関係にあり、かつ、Aさんの健康保険の被扶養者であった弟(17歳)のみである場合、弟に遺族厚生年金が支給される。

正解 1

問題難易度
肢146.9%
肢215.5%
肢312.8%
肢424.8%

解説

  1. [適切]。遺族厚生年金は、労働基準法上の規定により遺族補償の支給(労災保険からではなく勤務先からの支給のこと)が行われるときは、死亡日から6年間支給が停止されます。障害厚生年金も同様で、労働基準法上の規定により障害補償を受ける権利を取得したときは、その権利取得の日から6年間支給が停止されます(厚年法54条、同64条)。
  2. 不適切。30歳未満の子のない妻に支給される遺族厚生年金は、5年間の有期年金となります。本肢の妻は受給権取得時に28歳ですが、子がいるので有期年金とはなりません(厚年法63条1項5号)。
  3. 不適切。受給権者が2人以上の場合には、その全員が受給権者となります。例えば、本肢のように父母2人の場合や、子が複数人のときです。各人に支給される額は受給権者の頭数で除した額となります。
  4. 不適切。遺族厚生年金の受給者の範囲は、妻、子、夫、父母、孫、祖父母です。子・孫は年金法上の子であること、夫・父母・祖父母は55歳以上である必要があります。兄弟姉妹は受給権者にはなりません
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したがって適切な記述は[1]です。