FP1級過去問題 2016年9月学科試験 問7

問7

小規模企業共済制度に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
  1. 共済契約者は、事業経営の著しい悪化や病気または負傷などの理由により掛金の払込みを継続することが著しく困難であると認められる場合に限り、掛金月額を減額することができる。
  2. 共済契約者である個人事業主が個人事業の全部を廃止した場合は「A共済事由」、配偶者または子に事業の全部を譲渡した場合は「準共済事由」となり、掛金納付年数に応じて受け取る共済金額は前者のほうが高くなる。
  3. 共済金の分割受取りを選択した場合、分割された共済金は10年間または15年間にわたって年6回(1月、3月、5月、7月、9月、11月)支給される。
  4. 所定の要件を満たす共済契約者が払い込んだ掛金合計額の範囲内で事業資金などの貸付けが受けられる契約者貸付制度において、「一般貸付け」の貸付限度額の上限は1,000万円、複数の種類を合わせて借り入れる場合の貸付限度額の上限は1,500万円である。

正解 3

問題難易度
肢113.4%
肢215.1%
肢356.6%
肢414.9%

解説

  1. 不適切。小規模企業共済制度の掛金月額は、1,000円から70,000円までの範囲内(500円単位)で自由に選べ、増額・減額時も特に理由は問われません。本肢のような減額事由が要求されるのは、中小企業倒産防止共済制度(経営セーフティ共済)です。
    減額理由の確認がなくなったのは2016年(平成28年)4月以降です。それ以前は「事業経営の著しい悪化」などの条件に該当する場合に限り減額が認められていました。
    事業経営の著しい悪化により、掛金の納付を継続することが著しく困難であると認められた場合に限り、掛金月額を1,000円まで減額することができる。2015.1-6-3
  2. 不適切。小規模企業共済における共済金には、共済金A、共済金B、準共済金および解約手当金という区分があります。個人事業のすべての事業を廃止した場合には「A共済事由」、配偶者または子に事業の全部を譲渡した場合にも「A共済事由」となります。
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    配偶者または子に事業の全部を譲渡するのが「A共済事由」となったのは2016年(平成28年)4月以降です。それ以前は「準共済事由」でした。
  3. [適切]。分割受取を選択した場合、受取時期が年6回(奇数月)で10年または15年の期間にわたり共済金を受け取れます。分割受取を選択する際には、以下の要件すべてを満たす必要があります。
    1. 共済金の区分が共済金A(廃業、死亡、傷病による退任)または共済金B(老齢給付)であること
    2. 請求事由が共済契約者の死亡でないこと
    3. 請求事由が発生した日に60歳以上であること
    4. 共済金の額が300万円以上であること
  4. 不適切。小規模企業共済の契約者貸付制度は、掛金の範囲内(掛金納付月数により掛金の7~9割)で資金を借りられる制度です。全部で7種類の貸付制度がありますが、「一般貸付け」は10万円以上2,000万円以内、それ以外は50万円以上1,000万円以内となっています。「一般貸付け」における貸付限度額は2,000万円ですので、1,500万円とする本肢は誤りです。
したがって適切な記述は[3]です。