FP1級過去問題 2016年9月学科試験 問44

問44

成年後見制度等に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
  1. 本人以外の者が後見等の開始の申立てを行う場合、後見および保佐については本人の同意は不要であるが、補助については本人の同意が必要である。
  2. 成年後見人に選任された者は、速やかに成年被後見人の資産や収入等を調査して成年被後見人のための財産管理計画を立案し、財産目録および年間収支予定表を作成しなければならない。
  3. 成年後見人が家庭裁判所の許可を得ないで成年被後見人の居住用不動産を処分した場合、その処分行為は無効となる。
  4. 成年後見登記制度における「登記されていないことの証明書」とは、成年被後見人、被保佐人等の登記がされていないことを証明するもので、本人または本人の配偶者に限り、その交付を請求することができる。

正解 4

問題難易度
肢123.6%
肢25.9%
肢310.6%
肢459.9%

解説

  1. 適切。本人以外の者の請求により補助開始の審判をするには、本人の同意が必要です。補助開始の審判を受けるのは事理弁識能力が不十分な者とされており、一定程度の判断能力があるため、本人の意思を尊重する趣旨があります(民法17条2項)。なお、後見・保佐については本人の同意は不要です。
    後見等開始の審判の請求を本人以外の者が行う場合、後見および保佐については本人の同意は不要であるが、補助については本人の同意が必要である。2024.1-43-1
    法定後見制度において、本人以外の者が後見等の開始の申立てをするためには、後見については本人の同意を必要としないが、保佐および補助については本人の同意を必要とする。2015.10-44-2
  2. 適切。成年後見人に選任された者は、遅滞なく成年被後見人の財産調査に着手し、原則として1カ月以内に財産目録を作成しなければなりません(民法853条)。
    成年後見人に選任された者は、遅滞なく成年被後見人の財産の調査に着手し、原則として1カ月以内に、その調査を終了し、かつ、財産目録を作成しなければならない。2019.5-45-1
  3. 適切。成年後見人は、成年被後見人に代わって、その居住の用に供する建物またはその敷地について、売却、賃貸、賃貸借の解除または抵当権の設定等の処分をするには、家庭裁判所の許可を得なければなりません(民法859条の3)。この許可を得ないでした処分行為は無効となります。
    成年後見人が、成年被後見人に代わって、成年被後見人の居住用不動産の売却や賃貸等をする場合、家庭裁判所の許可を得なければならない。2019.5-45-2
    成年後見人が、成年被後見人に代わって、成年被後見人の居住用不動産の売却や賃貸等をする場合、家庭裁判所の許可を得なければならない。2018.1-44-3
  4. [不適切]。「登記されていないことの証明書」は、被後見人・被保佐人・被補助人として後見登記等ファイルに登記(登録)されていないことを証明するもので、本人または本人の四親等内の親族およびそれらの方から委任を受けた代理人に限り、法務局で交付請求できます。各種申請の添付書類として使用されています。
したがって不適切な記述は[4]です。