FP1級過去問題 2017年1月学科試験 問39

問39

土地収用法に基づく土地の収用に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
  1. 収用する土地の取得価格や収用する土地に対する補償金額の算定にあたっては、当該土地の固定資産税評価額が規準となる。
  2. 土地の収用に伴う補償は、収用する土地および当該土地に関する所有権以外の権利に対する補償に限られ、土地所有者の営業上の損失や建物の移転による賃貸料の損失などが補償の対象となることはない。
  3. 土地を収用された個人が対価補償金を受け取った場合、所定の要件を満たせば、その譲渡所得金額の計算上、最高で5,000万円の特別控除を差し引くことができる。
  4. 土地を収用された個人がその対価補償金により代替資産となる土地を取得した場合、所定の要件を満たせば、譲渡益のうち代替資産の取得価額の80%に相当する部分の金額に対する課税を将来に繰り延べることができる。

正解 3

問題難易度
肢113.5%
肢25.7%
肢360.2%
肢420.6%

解説

  1. 不適切。収用する土地の取得価格や収用する土地に対する補償金額の算定は、原則として標準地比準評価法(または路線価式評価法)により行われます。近傍類地の取引事例が収集できない場合、固定資産税評価額等を基礎とした価格となります。
  2. 不適切。土地の収用に伴う経済的損失に対する補償は、収用する土地や当該土地に関する所有権以外の権利に対する補償のほか、土地所有者の従来の営業を廃止せざるを得ないような営業上の損失や建物の移転による賃貸料の損失なども補償の対象となります。
  3. [適切]。土地等を収用され対価補償金を受け取った場合、次に掲げる要件を満たせばその譲渡所得金額の計算上、最高5,000万円の特別控除の適用を受けることができます。
    1. 売った土地建物が固定資産であること
    2. 取得した代替資産について課税の特例を受けていないこと
    3. 最初に買取り等の申出があった日から6か月を経過した日までに土地建物を売っていること
  4. 不適切。収用等の課税の繰延べの特例は、対価補償金よりも代替資産取得金額のほうが多いときは、譲渡益の100%が将来に繰り延べられます。反対に、対価補償金よりも代替資産取得金額のほうが少ないときは、その差額が収入金額として譲渡所得が算出されます。
したがって適切な記述は[3]です。