FP1級 2017年1月 応用編 問60

【この問題にはが用意されています。読んでから回答してください。】
 Aさん(68歳)は、妻Bさん(68歳)との2人暮らしである。Aさんが所有する自宅の建物とその敷地である甲土地は、12年前に父親から相続により取得したものであり、Aさんの父親が45年前に建築した当該建物は老朽化が進んでいる。
 そこで、Aさんは、老朽化した自宅の建物について、耐震化やバリアフリー化を含めた改築を行うか、その敷地とともに売却し、新たな戸建て住宅を購入して移り住むかを検討している。

〈甲土地の概要〉
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  • 甲土地は、224㎡の長方形の土地である。
  • 幅員2mの市道は、建築基準法第42条第2項により特定行政庁の指定を受けた道路である。2m市道の道路中心線は、当該道路の中心部分にある。また、2m市道の甲土地の反対側は宅地であり、がけ地や川等ではない。
  • 甲土地は、建ぺい率の緩和について特定行政庁が指定する角地である。
  • 指定建ぺい率および指定容積率とは、それぞれ都市計画において定められた数値である。
  • 特定行政庁が都道府県都市計画審議会の議を経て指定する区域ではない。
  • 上記以外の条件は考慮せず、各問に従うこと。

問60

甲土地に耐火建築物を建築する場合、次の①および②に答えなさい(計算過程の記載は不要)。〈答〉は㎡表示とすること。なお、記載のない事項については考慮しないものとする。

  1. 建ぺい率の上限となる建築面積はいくらか。
  2. 容積率の上限となる延べ面積はいくらか。

正解 

① 168(㎡)
② 504(㎡)

分野

科目:E.不動産
細目:3.不動産に関する法令上の規制

解説

まず、甲土地は2項道路(下側の2m道路)に接しているためセットバックについて考慮する必要があります。
道路の反対側はがけ地や川等ではないことから、道路の中心線から2mの線まで後退することとなり、甲土地の下側1mがセットバック部分になります。このため、建蔽率・容積率の算定上に用いる敷地面積の計算に当たっては縦幅を「16m-1m=15m」とみなします。したがって、甲土地の敷地面積は「15m×14m=210㎡」として計算します。

〔①について〕
建築面積の計算では建蔽率の緩和を考慮する必要があります。
本問の建物は防火地域内(建蔽率が80%ではない)に建築されるので、"防火地域内の耐火建築物等"に該当し、+10%の緩和を受けられます。また、甲土地・乙土地を一体とした土地は指定角地に該当するので、さらに+10%の緩和を受けることができます(合わせて+20%)。よって、敷地面積に乗じる建蔽率は「60%+20%=80%」となります。

建築面積の上限は「敷地面積×建蔽率」で求めます。敷地面積が210㎡なので、

 210㎡×80%=168㎡

よって、正解は168(㎡)になります。

〔②について〕
延べ面積の上限は「敷地面積×容積率」で求めます。容積率には前面道路の幅員による制限があり、前面道路の幅員が12m未満の場合、以下の2つのうち小さい方の制限が適用されます。
  • 都市計画で定められた容積率(指定容積率)
  • 前面道路の幅員×法定乗数
敷地が2以上の道路に面している場合、幅員が最大のものが前面道路となるので、本問では6m道路が前面道路です。

甲土地は指定容積率が300%、前面道路の幅員×法定乗数が「6m×0.4=2.4=240%」なので、容積率は2つを比べて小さい240%となります。敷地面積が210㎡なので、延べ面積(床面積の合計)の最高限度は、

 210㎡×240%=504㎡

よって、正解は504(㎡)になります。