FP1級過去問題 2017年9月学科試験 問32

問32

法人事業税および地方法人特別税に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
  1. 法人事業税は、法人の行う事業に対し、事務所または事業所が所在する都道府県が、その事業を行う法人に課する都道府県税である。
  2. 資本金の額または出資金の額が1億円を超える法人に課される法人事業税は、均等割額、資本割額および所得割額の合算額となる。
  3. 納付した法人事業税の額は、原則として、法人事業税の申告書を提出した日の属する事業年度の損金の額に算入される。
  4. 地方法人特別税は、法人事業税の一部を分離して創設された国税である。

正解 2

問題難易度
肢112.9%
肢245.5%
肢325.3%
肢416.3%

解説

  1. 適切。法人事業税は、法人の事業所得に対して地方自治体(都道府県)が課すため、納付先は各地方自治体(都道府県)になります。法人の所得が赤字であれば、納付する必要はありません。
    特別法人事業税は、法人の行う事業に対し、事務所または事業所が所在する都道府県が、その事業を行う法人に課する地方税である。2021.1-32-3
  2. [不適切]。資本金1億円超の法人に課される法人事業税は、所得に応じて課される所得割額、所得と給与・支払利子・支払賃借料に応じて課される付加価値割額、資本金・出資金の額に応じて課される資本割額の合計で算出されます。法人住民税とは異なり均等割額はありません。
    資本金の額または出資金の額が1億円以下の普通法人に対しては、原則として所得割および資本割が課される。2023.1-33-2
  3. 適切。法人事業税は、所得ではなく事業そのものに課税されるものと考えられるため、法人事業税の額は翌事業年度の損金に算入することができます。例えば3月決算だと5月末までに法人税等の申告書の提出と税額納付をしますが、申告書を提出した5月が属する事業年度の損金になるということです。
    法人が納付した法人事業税の額は、法人税における事業年度の所得金額の計算上、法人事業税の申告書を提出した日の属する事業年度の損金の額に算入することはできない。2023.1-33-3
    納付した法人事業税の額は、原則として、法人事業税の申告書を提出した日の属する事業年度の損金の額に算入することができる。2021.1-32-2
  4. 適切。地方法人特別税は、従来の法人事業税の一部を分離して導入された国税で、各都道府県に再配分することで地方間の税収偏在を是正する目的があります。都道府県から国に対して払い込まれ、地方法人特別譲与税として各都道府県に再配分されることになります。
したがって不適切な記述は[2]です。