FP1級過去問題 2017年9月学科試験 問44(改題)

問44

2023年中に死亡したAさんの下記の親族関係図に基づき、民法における相続人および法定相続分に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。なお、Aさんには、婚姻外で生まれ、認知したKさんがおり、GさんはAさんの普通養子(特別養子縁組以外の縁組による養子)である。また、IさんはAさんとGさんの養子縁組後に出生している。
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  1. Aさんの相続開始前にDさんとGさんがともに死亡していた場合、IさんはDさんとGさんの相続権をいずれも代襲し、その法定相続分はDさんとGさんがそれぞれ受けるべきであった法定相続分の合計となる。
  2. Eさんが相続の放棄をした場合、Eさんは、はじめから相続人ではなかったものとみなされ、Bさんを含めた他の相続人の法定相続分はいずれも増加する。
  3. Kさんの法定相続分は、Cさんの法定相続分の2分の1となる。
  4. Fさんは、Aさんの相続人とはならないが、Aさんの無償の療養看護等によりAさんの財産の維持または増加について特別の寄与をしたことが明らかなときであっても、Fさんに寄与が認められることはない。

正解 1

問題難易度
肢158.7%
肢215.4%
肢317.3%
肢48.6%

解説

  1. [適切]。法定相続人となるべき父母の両方が死亡していた場合、その子は2人を代襲相続するので、Iさんの法定相続分はDさん・Gさんが受けるべきであった法定相続分の合計となります。設問のケースでは養子を含めて子が5人なので、Iさんの相続分は「1/2×1/5×2=1/5」となります。
  2. 不適切。Bさんは配偶者ですので、Eさんが放棄したがどうかにかかわらず法定相続分は1/2です。Eさんの放棄により法定相続分が増加するのはBさん以外の相続人です。
  3. 不適切。嫡出子、養子、非嫡出子には順位の差はなく、全員、同順位で相続人になります。また非嫡出子の相続分は嫡出子と同じです。よって、Kさんの法定相続分はCさんと同じです。
  4. 不適切。寄与分とは、被相続人の事業に関して労務を提供したり財産を給付したり、被相続人の療養看護等により被相続人の財産の維持増加に寄与した者がいるとき、相続財産からその寄与分を控除することで、寄与した人が財産を多くもらえるようにする制度です(民法904条の2第1項)。
    従来、寄与分は相続人にのみ認められていましたが、民法改正により相続人を除く被相続人の親族(子の配偶者や孫)が被相続人に対して無償でした寄与がある場合、特別寄与分として相続人に対して寄与に応じた金銭を請求できるようになりました(民法1048条)。
したがって適切な記述は[1]です。