FP1級過去問題 2017年9月学科試験 問49

問49

Aさんは、2019年4月に、父親が所有している戸建て住宅(第三者であるBさんに賃貸している)とその敷地(土地)のうち、戸建て住宅の贈与を受け、敷地は父親から使用貸借により借り受けた。その後、2023年4月に父親が死亡し、相続が開始した。父親の相続開始時点の敷地の自用地価額等が下記の〈資料〉のとおりであった場合、父親の相続に係る相続税額の計算上、当該敷地の相続税評価額として、次のうち最も適切なものはどれか。
なお、相続開始時点の戸建て住宅の借主は引き続きBさんであり、「小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例」は考慮しないものとする。

〈資料〉
敷地(土地)の自用地価額
3,000万円
借地権割合
60%
借家権割合
30%
賃貸割合
100%
  1. 1,200万円
  2. 1,800万円
  3. 2,460万円
  4. 3,000万円

正解 3

問題難易度
肢16.0%
肢29.7%
肢351.2%
肢433.1%

解説

個人間で使用貸借していた土地を相続した場合、土地上の建物が自宅または賃貸物件にかかわらず、原則としてその土地は自用地価額で評価します。ただし、本問のように、
  1. 既に第三者と賃貸借契約している貸家の贈与を受けた
  2. その貸家が建っている敷地を使用貸借している
  3. 相続時に贈与時の建物賃貸借契約が継続している
という3つの条件を満たす場合には、例外的に貸家建付地として評価することになっています。このような取扱いとなっているのは、贈与前に成立した借家権による敷地利用権が建物の贈与後も存続しており、それにより敷地の処分や利用等が制限されるため、その分を自用地価額からの減額するのが相当だからです。

問題文の設定を整理してみると、
  • 父親が所有している住宅がBさんに賃貸されている
  • 賃貸中の物件をAさんに贈与
  • 賃貸物件の敷地をAさんに使用貸借
  • 相続時に賃貸物件の借主が前と同じBさん
というように貸家建付地として評価する条件をすべて満たしています。

貸家建付地の相続税評価額は以下の式で計算します。
49.png./image-size:500×59
<資料>の値を代入すると、

 3,000万円×(1-60%×30%×100%)
=3,000万円×0.82=2,460万円

したがって[3]が正解です。