FP1級 2017年9月 応用編 問54(改題)

【この問題にはが用意されています。読んでから回答してください。】
 Aさん(40歳)は、NISA口座を利用して上場株式と投資信託への投資を行うことを検討している。Aさんは、上場株式については同業種のW社とX社に興味を持ち、下記の財務データを参考にして投資判断したいと考えており、投資信託についてはYファンドとZファンドの購入を考えている。
 そこで、Aさんは、ファイナンシャル・プランナーのMさんに相談することにした。

〈W社とX社の財務データ〉(単位:百万円)
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〈Yファンド・Zファンドの実績収益率・標準偏差・共分散〉
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  • 上記以外の条件は考慮せず、各問に従うこと。

問54

Mさんは、Aさんに対して、2024年以降の「非課税口座内の少額上場株式等に係る配当所得および譲渡所得等の非課税措置」(以下、当該非課税措置は「NISA」、当該非課税口座は「NISA口座」という)の仕組みについて説明した。Mさんが説明した以下の文章の空欄①~⑤に入る最も適切な数値を、解答用紙に記入しなさい。
なお、本問において、特定非課税累積投資契約に基づいてNISA口座に設けられる特定累積投資勘定をつみたて投資枠といい、特定非課税管理勘定を成長投資枠という。

 「NISAは、NISA口座に受け入れた上場株式や公募株式投資信託等について、本来は課税される配当金や譲渡益等が非課税となる制度です。NISA口座に2024年中に受け入れることができる上場株式等の限度額(非課税枠)は、つみたて投資枠と成長投資枠をあわせて()万円です。なお、2024年分の非課税枠を使い切らなかった場合、その未使用分を翌年以降に繰り越すことはできません。
 NISA口座に2024年中に受け入れた上場株式等の配当金や譲渡益等については、無期限で配当金や譲渡益等が非課税となります。非課税期間が恒久化されたことに伴い、生涯を通じて保有することのできる限度額(生涯総枠)が定められています。生涯総枠は、つみたて投資枠が()万円、成長投資枠は()万円で、かつ、両者をあわせて□□□万円となっています。
 仮に、Aさんが2024年中にNISA口座の成長投資枠で株価1,800円のW社株式を1,000株購入し、同年中に株価700円で全株を売却した後の2024年中の成長投資枠の非課税枠の残額は()万円となります。
 なお、成長投資枠は従前の一般NISAに対応するものですが、一般NISAと比較して信託期間()年未満の投資信託、高レバレッジ型や毎月分配型の投資信託は投資対象から除外されているなどの違いがあります。
万円
万円
万円
万円

正解 

① 360(万円)
② 1,800(万円)
③ 1,200(万円)
④ 60(万円)
⑤ 20(年)

分野

科目:C.金融資産運用
細目:10.金融商品と税金

解説

〔①について〕
2024年以降の新NISA制度における年間非課税枠は、つみたて投資枠が120万円、成長投資枠が240万円です。2023年以前は一般NISAとつみたてNISAは同一年中では併用できませんでしたが、新NISAでは両方に限度額まで投資できるので、年間投資可能額は「120万円+240万円=360万円」となります。
よって、正解は360(万円)です。

〔②、③について〕
2024年以降の新NISA制度では非課税期間が恒久化されたことに伴い、非課税保有限度額(生涯総枠)が設定されています。非課税保有限度額は総額で1,800万円、そのうちつみたて投資枠は1,800万円まで、成長投資枠は1,200万円までが保有限度となっています。
よって、②は1,800(万円)、③は1,200(万円)が正解です。

〔④について〕
1,800円の株式を1,000株購入すると「1,800円×1,000株=180万円」です。成長投資枠の年間非課税枠は240万円で、購入した分を売却してもその年分の枠は復活しないので、2024年中の投資枠の残額は「240万円-180万円=60万円」となります。
よって、正解は60(万円)です。

〔⑤について〕
成長投資枠は、従前の一般NISAのように上場株式の購入やスポット投資ができる枠です。投資可能な商品も原則としては従来の一般NISAと同じですが、信託期間20年未満の投資信託、高レバレッジ型や毎月分配型の投資信託は投資対象から除外されています。
よって、正解は20(年)です。