FP1級 2017年9月 応用編 問53
X株式会社(以下、「X社」という)に勤務するAさん(58歳)は、妻Bさん(59歳)との2人暮らしである。X社は、満60歳の定年制を採用しているが、再雇用制度が設けられており、その制度を利用して同社に再雇用された場合、最長で65歳まで勤務することができる。Aさんは、定年退職して他社で再就職した場合と再雇用制度を利用してX社に勤務し続けた場合における雇用保険からの給付や公的年金制度からの老齢給付について知りたいと思っている。
また、Aさんは、妻Bさんが療養のために入院したのを機に、今後自分が疾病により休職した場合の健康保険からの給付についても知りたいと思っている。
そこで、Aさんは、ファイナンシャル・プランナーのMさんにアドバイスを求めることにした。Aさんの家族に関する資料は、以下のとおりである。
〈Aさんの家族に関する資料〉
また、Aさんは、妻Bさんが療養のために入院したのを機に、今後自分が疾病により休職した場合の健康保険からの給付についても知りたいと思っている。
そこで、Aさんは、ファイナンシャル・プランナーのMさんにアドバイスを求めることにした。Aさんの家族に関する資料は、以下のとおりである。
〈Aさんの家族に関する資料〉
- Aさん(本人)
- 1959年4月20日生まれ
- 公的年金の加入歴
1979年4月から1982年3月までの大学生であった期間(36月)は、国民年金に任意加入していない。
1982年4月から現在に至るまで厚生年金保険の被保険者である。 - 全国健康保険協会管掌健康保険の被保険者である。
- 1982年4月から現在に至るまで雇用保険の一般被保険者である。
- Bさん(妻)
- 1958年5月1日生まれ
- 公的年金の加入歴
1977年4月から1986年4月まで厚生年金保険の被保険者である。
1986年5月から現在に至るまで国民年金の第3号被保険者である。
- 子ども(2人)
- 長男と長女がおり、いずれも結婚して独立している。
- 妻Bさんは、Aさんと同居し、現在および将来においても、Aさんと生計維持関係にあるものとする。
- Aさんと妻Bさんは、現在および将来においても、公的年金制度における障害等級に該当する障害の状態にないものとする。
- 上記以外の条件は考慮せず、各問に従うこと。
問53
Aさんが、定年退職後もX社の再雇用制度を利用して厚生年金保険の被保険者として同社に勤務し、65歳で退職して再就職しない場合、Aさんが原則として65歳から受給することができる公的年金の老齢給付について、次の①および②に答えなさい。〔計算過程〕を示し、〈答〉は円単位とすること。また、年金額の端数処理は、円未満を四捨五入すること。なお、計算にあたっては、以下の〈条件〉と〈資料〉の計算式を利用し、年金額は、2017年度価額に基づいて計算するものとする。また、資料中の「□□□」は、問題の性質上、伏せてある。
- 老齢基礎年金の年金額はいくらか。
- 老齢厚生年金の年金額(本来水準による価額)はいくらか。
- 厚生年金保険の被保険者期間
- 1982年4月~2003年3月(252月)
- 2003年4月~2024年3月(65歳到達時点、252月)
- 平均標準報酬月額および平均標準報酬額(65歳到達時点)
- 平均標準報酬月額:37万円
- 平均標準報酬額:52万7,000円
①円 |
②円 |
正解
① 720,853(円) 779,300円×444月480月=720,853円(円未満四捨五入) |
② 1,451,382(円) 370,000円×7.1251,000×252月+527,000円×5.4811,000×252月
=1,392,234円(円未満四捨五入) 1,625円×480月-779,300円×444月480月=59,148円(円未満四捨五入) 1,392,234円+59,148円=1,451,382円 |
分野
科目:A.ライフプランニングと資金計画細目:5.公的年金
解説
〔①について〕
老齢基礎年金の年金額は、以下の算式で求めます。2017年度の基本年金額は779,300円です。
基本年金額×保険料納付済月数480月
Aさんは、大学生だったときの36月の未納期間を除き、60歳まで引き続き厚生年金の被保険者となっているので、保険料納付済月数は480月から36月を差し引いた「480月-36月=444月」です。免除期間はないのでそのまま計算します。
779,300円×444月480月=720,852.5円
(円未満四捨五入)720,853円
よって、正解は720,853(円)です。
〔②について〕
65歳以上の老齢厚生年金の年金額は、以下の算式で求めます。
報酬比例部分の額+経過的加算額+加給年金額
【報酬比例部分の額】
次式で算出される額の合計になります。
370,000円×7.1251,000×216月+527,000円×5.4811,000×293月
=370円×7.125×252月+527円×5.481×252月
=664,335円+727,898.7…円=1,392,233.7…円
(円未満四捨五入)1,392,234円
【経過的加算額】
厚生年金の被保険者期間の合計は「252月+252月=504月」ですが、上限が480月なので480月を使います。20歳以上60歳未満の被保険者期間の月数は、60歳から65歳までの5年分(60月)を差し引いた「504月-60月=444月」です。これを計算式に当てはめると、
1,625円×480月-779,300円×444月480月
=780,000円-720,852.5円=59,147.5円
(円未満四捨五入)59,148円
【加給年金額】
次の表の条件を満たすときに支給されます。被保険者期間の要件は満たしていますが、妻BさんはAさんより年上なので支給対象外となります。以上より、老齢厚生年金の基本年金額は、
1,392,234円+59,148円=1,451,382円
よって、正解は1,451,382(円)です。
老齢基礎年金の年金額は、以下の算式で求めます。2017年度の基本年金額は779,300円です。
基本年金額×保険料納付済月数480月
Aさんは、大学生だったときの36月の未納期間を除き、60歳まで引き続き厚生年金の被保険者となっているので、保険料納付済月数は480月から36月を差し引いた「480月-36月=444月」です。免除期間はないのでそのまま計算します。
779,300円×444月480月=720,852.5円
(円未満四捨五入)720,853円
よって、正解は720,853(円)です。
〔②について〕
65歳以上の老齢厚生年金の年金額は、以下の算式で求めます。
報酬比例部分の額+経過的加算額+加給年金額
【報酬比例部分の額】
次式で算出される額の合計になります。
- 平均標準報酬月額×7.1251,000×総報酬制導入前※の被保険者期間月数
※2003年3月以前 - 平均標準報酬額×5.4811,000×総報酬制導入後※の被保険者期間月数
※2003年4月以降
370
=370円×7.125×252月+527円×5.481×252月
=664,335円+727,898.7…円=1,392,233.7…円
(円未満四捨五入)1,392,234円
【経過的加算額】
厚生年金の被保険者期間の合計は「252月+252月=504月」ですが、上限が480月なので480月を使います。20歳以上60歳未満の被保険者期間の月数は、60歳から65歳までの5年分(60月)を差し引いた「504月-60月=444月」です。これを計算式に当てはめると、
1,625円×480月-779,300円×444月480月
=780,000円-720,852.5円=59,147.5円
(円未満四捨五入)59,148円
【加給年金額】
次の表の条件を満たすときに支給されます。被保険者期間の要件は満たしていますが、妻BさんはAさんより年上なので支給対象外となります。以上より、老齢厚生年金の基本年金額は、
1,392,234円+59,148円=1,451,382円
よって、正解は1,451,382(円)です。
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