FP1級 2017年9月 応用編 問58

【この問題にはが用意されています。読んでから回答してください。】
 サービス業を営むX株式会社(資本金10,000千円、青色申告法人、同族会社かつ非上場会社で株主はすべて個人、租税特別措置法上の中小企業者等に該当する。以下、「X社」という)の2024年3月期(2023年4月1日~2024年3月31日。以下、「当期」という)における法人税の確定申告に係る資料は、以下のとおりである。

〈資料〉
  1. 交際費等に関する事項
    当期における交際費等の金額は17,700千円で、全額を損金経理により支出している。このうち、参加者1人当たり5千円以下の飲食費が900千円含まれており、その飲食費を除いた接待飲食費に該当するものが15,000千円含まれている(いずれも得意先との会食によるもので、専ら社内の者同士で行うものは含まれておらず、所定の事項を記載した書類も保存されている)。その他のものは、すべて税法上の交際費等に該当する。
  2. 役員給与に関する事項
    当期において、取締役であるAさんに対して支給した役員給与は2023年4月分から2023年9月分までは月額900千円であったが、2023年10月分から2024年3月分までは月額1,350千円に増額した。このAさんに対する役員給与について、増額する臨時改定事由は特になく、X社は所轄税務署長に対して事前確定届出給与に関する届出書は提出していない。
  3. 生命保険の保険料に関する事項
    当期において、契約者(=保険料負担者)をX社、被保険者を役員・従業員の全員、死亡保険金受取人を被保険者の遺族、満期保険金受取人をX社とする養老保険(特約付加なし)の保険料3,000千円について、全額を損金経理により支出している。
  4. 税額控除に関する事項
    当期における賃上げ促進税制(給与等の支給額が増加した場合の法人税額の特別控除)に係る税額控除額が400千円ある。
  5. 「法人税、住民税及び事業税」等に関する事項
    1. 損益計算書に表示されている「法人税、住民税及び事業税」は、預金の利子について源泉徴収された所得税額15千円・復興特別所得税額315円および当期確定申告分の見積納税額5,500千円の合計額5,515,315円である。なお、貸借対照表に表示されている「未払法人税等」の金額は5,500千円である。
    2. 当期中に「未払法人税等」を取り崩して納付した前期確定申告分の事業税(地方法人特別税を含む)は680千円である。
    3. 源泉徴収された所得税額および復興特別所得税額は、当期の法人税額から控除することを選択する。
    4. 中間申告および中間納税については、考慮しないものとする。
  • 上記以外の条件は考慮せず、各問に従うこと。

問58

前問《問57》を踏まえ、X社が当期の確定申告により納付すべき法人税額を求めなさい。〔計算過程〕を示し、〈答〉は100円未満を切り捨てて円単位とすること。
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正解 

 4,264,600(円)
8,000,000円×15%+(23,000,000円-8,000,000円)×23.2%=4,680,000円
4,680,000円-400,000円-15,315円=4,264,600円(100円未満切り捨て)

分野

科目:D.タックスプランニング
細目:10.法人税

解説

X社の資本金は10,000千円=1,000万円のため、<資料>のその他の法人に該当します。中小法人の場合、所得金額800万円以下の部分は税率15%、それ以外の部分は税率23.2%を乗じます。問57⑦より所得金額は50,000,000円なので、法人税の算出税額は、
①800万円以下の部分
8,000,000円×15%=1,200,000円
②800万円超の部分
(23,000,000円-8,000,000円)×23.2%=3,480,000円
合計(①+②)
1,200,000円+3,480,000円=4,680,000円
《設例》4.税額控除に関する事項より、賃上げ促進税制による税額控除額が400千円あります。法人税額の特別控除は、控除前の法人税額の20%が控除限度額となることが通例ですが20%以内に収まっているので全額を控除することができます。

また問57⑤より、法人税額から控除される所得税額15,315円があるため、それぞれを法人税額から控除して納付すべき法人税額を求めます。

 4,680,000円-400,000円-15,315円=4,264,685円
(100円未満切り捨て)4,264,600円

よって、正解は4,264,600(円)となります。