FP1級過去問題 2018年1月学科試験 問26

問26

不動産を譲渡したことによる譲渡所得の金額の計算における取得費に関する次の記述のうち、適切なものはいくつあるか。なお、記載のない事項については考慮しないものとする。
  1. Aさんは、2014年4月に父親の相続により土地(取得費は不明)を取得し、相続登記関係費用として30万円を支払った。その後、当該土地を2023年4月に5,000万円で譲渡した。この場合、譲渡所得の金額の計算上、取得費は、概算取得費の250万円に相続登記関係費用の30万円を加算した280万円とすることができる。
  2. Bさんは、1955年(昭和30年)4月に自宅建物の所有を目的として借地権を設定し、地主に権利金等の一時金を支払うことなく、地代のみを支払っていた。その後、当該借地権を2023年4月に2,000万円で譲渡した。この場合、借地権設定時に設定の対価を支払っていないため、譲渡所得の金額の計算上、概算取得費控除の適用は受けられない。
  3. Cさんは、2022年4月に父親の相続により複数の土地を取得し、そのうちの一部の土地を2023年4月に3,000万円で譲渡した。この場合、「相続財産に係る譲渡所得の課税の特例」の適用を受けることにより、譲渡所得の金額の計算上、Cさんが納付した相続税額のうち、Cさんが相続により取得したすべての土地に対応する額を取得費に加算することができる。
  1. 1つ
  2. 2つ
  3. 3つ
  4. 0(なし)

正解 4

問題難易度
肢139.6%
肢218.5%
肢33.9%
肢438.0%

解説

  1. 不適切。取得費には、取得に要した土地や建物の購入代金のほか、取得時の仲介手数料、登録免許税、司法書士への報酬、不動産取得税等が含まれます。本肢の「相続登記関係費用」はこれらの費用に含まれ取得費の一部を構成します。譲渡所得を計算する際の取得費は、「収入金額×5%」の概算取得費、または実際の取得費のいずれか多い方を選択できますが、概算取得費を選択した場合に、その金額に判明している費用を上乗せして取得費とすることはできません。
  2. 不適切。借地権の取得費としては、権利金その他借地権の対価と認められる額および契約に際して支払った手数料などがありますが、権利金の授受がない場合でも概算取得費を取得費とすることができます。
  3. 不適切。「相続財産に係る譲渡所得の課税の特例」は、相続で取得した財産を一定期間内に譲渡し場合、その相続財産に課税された相続税を譲渡所得計算上の取得費に加算できる特例です。取得費に加算できる金額は、納付した相続税額のうち譲渡した財産に係る部分だけです。すべての財産に対応する額を加算することはできません。
したがって適切なものは「0(なし)」です。